BATHE法

最近は、心理的な要因やストレスが症状の発現の原因になることも多く、慢性的な疾患を抱えている患者さんが増えています。

 

 

病院や治療院へ行くと、いつから、どこが、どんなふうにつらくて、何に困っているのか、過去にどんな病気にかかって、今現在どんな治療をして、どんな薬を服用しているのか、何をすると緩解して、悪化するのか等、いわゆる医療的な病歴聴取を行います。

ただ、慢性疾患の場合には、なかなか症状が変わらずに苦しむケースも多いです。

 

 

その際、病歴聴取の一環として、BATHE法(バース法)という心理的側面へ働きかける技法があります。

引用文献:外来診療によく効くBATHE法(メディカルサイエンスインターナショナル)

BATHE法とは、まず患者のさまざまな背景(Background)と、それに対する感情(Affect)を聞き、そのなかで最も悩んでいること(Trouble)を抽出させ、どのように対処(Handling)しているのか尋ね、最後にその苦労や努力に対して共感(Empathy)を示す面接技法です。

 

 

B-Background(背景):最近、生活はいかがですか?

A-Affect(感情):それについてどう感じますか?

T-Trouble(問題):一番困っている状況は何ですか?

H-Handling(対処):どのように対応していますか?

E-Empathy(共感):それはあなたにとって、とても大変なことでしょう


BATHE法を使うことで、患者さんの感情、解釈、行動に焦点をあてることができ、患者さんとの関係を築いていくのに役立ちます。

 

 

うまく患者の反応を引き出すことができれば、これだけで症状軽減を期待できる治療的対話術でもあります。

もちろん、これだけうまくいくわけではないのですが、患者さんのつらさ、苦しさに寄り添う方法の一つとして、有用だと考えています。

 

 

患者さんが自分でできていることや、感じていることに気が付くことの手助けをする。

そんな関わり方をしながら、少しでも患者さんの苦痛を和らげることができたらいいなと思います。

実薬を最小限にプラセボを最大限に

「時代が締め出すこころ」という書籍からの紹介です。

時代が締め出すこころ(日本評論社)
青木省三

本書は、精神科の医師として、また一人の人間として、青木先生の温かい気持ちや、患者さんに立ち直ってほしいという願いが込められた一冊です。

新薬が許可される際には、患者さんの同意のもとに、二重盲検試験が行われます。

 

 

これは、実薬(本物)と、プラセボ(本物の薬にように見えて、中に何も入っていない同じ形をした偽薬)のそれぞれを使い、患者さんも医師も実薬か偽薬か知らずに効果を比較することです。

本書によると、抗うつ薬の二重盲検試験ではプラセボが40%くらいのうつ病に有効であることが多いそうです。

 

 

プラセボ効果とは、薬に象徴される治療への期待、薬を出す人との出会い、話し合いの持つ力、人に潜在している自然治癒力などからなる、人の持つ力であるとおっしゃっています。

青木先生の治療では、うつ病をはじめとして精神疾患は自然回復する力の強いものと考えています。

 

 

そのため、実薬を最小限に、プラセボを最大限にと心がけ、人の持つ自然回復力を最大限に発揮させるように行うのが、精神科治療の原則と考えているそうです。

患者さんとしては

「治療 = 薬を処方されること」

と思っていることも少なくありません。

とはいえ、薬には副作用もあるため、いかに薬を最小限にした上で治療効果を最大限に発揮させるか工夫していく姿勢は素晴らしいと思います。

 

 

以前に、別のブログでもプラセボ効果のことに触れました。


神田橋條治_プラセボエフェクト
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/placeboeffect


神田橋先生は、プラセボは「治療者と患者の絆」によって発動されるとおっしゃっています。

 

 

患者さんが安心感、信頼感、期待感をもてるような関わり方をし、患者さんと共に治療していく姿勢を忘れずにいたいと思います。

患者さんの自立を応援する

「時代が締め出すこころ」という書籍からの紹介です。

時代が締め出すこころ(日本評論社)
青木省三

本書は、精神科の医師として、また一人の人間として、青木先生の温かい気持ちや、患者さんに立ち直ってほしいという願いが込められた一冊です。

 

最後の自著三編を振り返る記載において、青木先生は

「当初は青年を『治す』治療を考えていたが、次第に青年が自身を『治す』のを援助する、あるいは青年が自然に『治る』のを援助するのが私の仕事ではないか」

と語っています。

 

 

また同時に、

「悩みや苦しみがない状態が治療や援助の目標」

ではなく、

「悩みや苦しみをしっかりと感じながら、それも人生の一部として受けとめて生きていくことが一つの目標である」

と考えるようになったとも述べており、患者さんの自立を応援する姿勢が伺えます。

 

 

私も鍼灸マッサージの治療をするにあたり、似たような考え方を持っています。

「患者さんの痛みや不自由がなくなること」

が治療の目標ではなく、

「多少の痛みや不自由があっても、痛みや不自由さをある程度は受け入れながら、できることやできるようにするための工夫を一緒に考えて、よりよい生活を送れるようにすることが目標」

という考え方です。

 

 

痛みや疲労、不自由さは固定的なものではなく、仕事や介護、生活のストレスなどで変化する流動的なものです。

そのため、痛みや不自由さがない状態を求めるのではなく、患者さんがそれを受け入れながら、なんとかやりくりできることの方が大切なのではと考えています。

 

 

そのための治療や援助ができるように、日々精進したいと思います。

 

患者さんの人生の大きな流れを知ることが大切

「時代が締め出すこころ」という書籍からの紹介です。

時代が締め出すこころ(日本評論社)
青木省三

本書は、精神科の医師として、また一人の人間として、青木先生の温かい気持ちや、患者さんに立ち直ってほしいという願いが込められた一冊です。

青木先生は、治療や援助においては、まずは「患者さんの人生の大きな流れを知ること」が大切であるとおっしゃっています。

 

 

それは、

「どのような人生を生きてきて、どのような考え方、生き方をするようになった人が、現在、どのような環境(人的、物理的、職場的、家庭的など)に生きていて、どのように精神症状や現実の問題に対処しようとしているか」

ということをを把握することが必要だということです。

 

 

そのうえで、

「治療とは、精神療法、薬物療法、生活療法、社会復帰支援などの、いくつかのアプローチの総和としてあり、大きな人生の流れに対して、時にはその流れを緩めたり、後押ししたりなど、よりよいものへの向かうように応援すること」

だとおっしゃっています。

私が行っている鍼灸マッサージの治療は、手技療法や心理相談、普段の体の使い方などになりますが、できるだけ患者さんの状態がよい方向へ向かうための手助けができたらと思います。

 

 

診断し処方する以前の地点からスタートする

「時代が締め出すこころ」という書籍からの紹介です。

時代が締め出すこころ(日本評論社)
青木省三

 

本書は、精神科の医師として、また一人の人間として、青木先生の温かい気持ちや、患者さんに立ち直ってほしいという願いが込められた一冊です。

精神科を受診すると、普通は「診断」をして「処方」をします。

 

 

ところが、青木先生は「診断し、処方する以前の地点からスタートする」必要があることを述べています。

病気ではないかという心配に加えて、どこに、誰に相談したらよいか分からなくて精神科を受診する可能性もあるからです。

その場合でも、必要に応じて別の専門家に繋ぐことも大事だとおっしゃっています。

 

 

これは、鍼灸マッサージでも同じ意識が必要だと思いました。

症状によっては病院の受診をすすめたり、介護の相談をするために地域包括センターをすすめたりする必要があると思います。

患者さんにとってどうすることが最良なのかを常に考えて行動したいです。