あと少しの改善が難しい

先日、患者さんと話した「あと少しの改善が難しい」という話を紹介します。

肩の痛みで来院された患者さん。

来院した当初は動かすと痛みがあり、動かせる範囲も制限がありました。

 

 

数回いらしたあとは、痛みはほとんどなくなり、動かせる範囲もだいぶ広がって生活に支障はないのですが、あと少し違和感が残っていて、それがなかなか取れないとのことでした。

実は、「あと少しの違和感」というのは改善が難しいのです。

分かりやすい例でいうと、テストで30点の人に勉強を教えて60点を取らせるのは、比較的簡単にできると思います。(もちろん本人のやる気と頑張りは必要ですが…)

60点の人を80点にするのは、ちょっと大変ですが、これもまあできると思います。

では、80点の人を90点にする、90点の人を95点にする、95点の人を100点にする、というのはいかがでしょうか?

これはものすごく難しいと思うのです。

すでにかなり高得点を取れているのに、さらに上を目指して得点を増やすというのは、すごく細かいところまで勉強しないといけません。

 

 

治療に関しても同じような感じで、ほとんど問題ないけれど少しだけ違和感が少しだけ残っている状態。

つまり、90点の状態を95点または100点にする、というのはかなり難しいと感じています。

患者さんにも上記の例えを説明して納得していただき、あまり気にしないようにすることも必要だと伝えました。案外ほかのことに熱中していると痛みは気にならなくなるものです。

本当は100点にできたらよいのですが…

日々研鑽して参ります。

 

「量より質」という言葉

産経新聞に掲載されていた記事からのご紹介です。

柔のすすめに出ていた、元オリンピック100kg超級金メダリストで柔道男子日本代表監督の鈴木桂治さんの

「覚醒のヒントは質より量」という記事です。(2025/12/18 朝刊)

選手に負荷の高い練習を課そうとしても、最近の若手は「量より質」、「効率」という流行りの言葉を持ち出し、きつい練習から逃れるための方便として都合よく使っているのではないか、という話でした。

トップ選手を追う者が、成果の出ない「量より質」にこだわっても、下地となる体力や技術もないのに強くなりたいと願うのは虫が良すぎるという厳しい言葉がありました。

練習量は裏切らず、流した汗の量だけ自分を強くしてくれる「質より量」の日々の中にこそ覚醒のヒントがあるという言葉が印象的でした。

 

 

私がやっている鍼灸マッサージの仕事でも、まずは「質より量」という考え方が重要だと考えています。

私が初めて勤務した鍼灸マッサージ院は、自費のみで一人当たりの施術時間が長く単価が高いスタイルでした。

そのため、1日に3人、4人しか施術できないことが多く、かつ、患者さんは頻繁に来院して下さるわけではないので、どんなに質にこだわっても、なかなか変化を感じ取ることは難しい状況でした。

それを脱却するために、整形外科内科のリハビリ室に勤務することで、「質より量」を意識して経験を積みました。

さらに、リハビリデイサービスでも副業し、介護が必要な状態の患者さんを診る経験も重ねました。

整形外科内科のリハビリ室、リハビリデイサービスともに、患者さんの数、施術頻度が多いため、とてもよい経験になりました。

参考ブログ:鍼灸治療院と比較した病院勤務のメリット
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/advantagesharikyuhospital

 

 

こうして、1日に20人、25人と施術していく中で、人の体に触る経験値を積み重ね、触った結果どんな変化をするかを感じる意識をもって試行錯誤していったことが、鍼灸マッサージ技術の上達につながっていったのだと考えています。

今回は、「覚醒のヒントは質より量」という新聞記事から私が考えることを書いてみました。

「量より質」という言葉は、ある程度の量をこなしたあとに使える言葉なのではないかと思います。

何が良質かは、量をこなした者にしか判断はできないと思うからです。

 

継続して通った方がよいか

今回は、「継続して通った方がよいか」ということについて、私の考えを書いていきます。

当院にいらっしゃる時点で、体の痛みや動かしにくさ、不快感など、何かしらの不調を抱えていることが多いため、まずはその不調を少しでも和らげること、楽にすることを考えます。

 

 

それと同時に、なぜそれが起こったのかを考えていきます。

足をひねってしまった、転んでしまった、というような突発的なものは別ですが、慢性的な症状の場合には何かしらの理由があります。

普段の仕事や体の使い方、生活習慣を聴いていくのはそのためです。

例えば、以下のような話をしています。

・どんな仕事をどのくらいの時間しているのか

・普段の生活で体を動かす習慣はあるか

・普段どのくらいの睡眠時間なのか、よく眠れているか

・自宅で介護をしている場合には、負担のかかる体の使い方

・育児をしている場合には抱っこや屈み方

・スポーツをしている場合には頻度や時間、動かし方、前後の準備体操

・特定の趣味(ゴルフ、楽器、ゲーム、ダンス、筋トレなど)の体の動かし方

・職場や家族関係のストレス

 

 

お話を聴いた中で、体の使い方を意識したり、何かしらの工夫ができることがあれば助言していきます。

その際に症状の状態によって、どれくらいの頻度で通ったらよいか、どれくらいの期間で症状が変化していくかなど、分かる範囲でお伝えします。

つらい症状が長く続いている場合、どの程度でよくなるかは分からないことが多いため、まずは今の状態が少しでも変化するかどうか、何か患者さんにとってよい変化がないか、ご自身でも観察するよう伝えます。

そのうえで、施術に効果があったのか、施術者との相性は問題なかったか、施術環境は不快ではなかったか、など患者さん自身で判断していただきます。

継続して通った方がよいかは患者さんの価値観によっても違うため、こちらから無理強いすることはありません。

 

 

とにかく今の痛みが楽になればいいと思っている人は、痛い時だけ来院します。

できるだけよい状態をキープしたい、日常生活を快適な状態で過ごしたい、と思っている人は定期的に来院します。
(症状の度合いによりますが、2週間に1回、月に1回、3ヶ月に1回が多いです)

定期的に来院する中で、自分で体を整える術を身に付けたり、習慣化できた人は、またつらくなった時に来院します。

ほかにも、普段の悩みや家族に言えないことを聴いてほしい、と思っていらっしゃる人もいます。

何年か前に一度いらして、その後ずっと連絡がなくて、数年ぶりにまた来院された、という人も結構いらっしゃいます。

 

 

私としてはせっかくご縁をいただいたので、月1回、もしくは季節の変わり目(3ヶ月に1回)くらいはお会いして元気に過ごしておられるか知りたいなとは思っています。

今回は、「継続して通った方がよいか」ということについて、私が考えていることを書いてみました。

継続して通った方がよいかは、その人の考え方によって異なるため無理強いはしませんが、いただいたご縁は大切にしていきたいと思います。

 

訪問患者さんの血圧測定

私は訪問施術も行っており、ご年配の患者さんの場合には毎回血圧と酸素飽和度を測定しています。

今回は、90代の患者さんのご家族から伺った話を紹介いたします。

こちらの患者さん、週に2回訪問看護、月に2回訪問診療、週に1回訪問マッサージを利用されています。

 

 

私の訪問も含めてその都度、血圧を測定しているのですが、特定の看護師さんの時だけ血圧が高くなるということを伺いました。

どうやらその看護師さんが苦手で、その方の時にはいつも緊張してしまうようです。

私が血圧を測定するといつも安定しているとご家族に言われました。

看護師さんがどうしているか分かりませんが、私がやっている血圧測定までの流れは以下のような感じです。

 

 

①まずきちんと挨拶をする

「〇〇さん、こんにちは。訪問マッサージに伺った佐藤です。本日もよろしくお願いいたします。」

②最初に体調を確認する

「〇〇さん、この一週間、体調はいかがですか?特にお変わりないですか?」

③血圧を測る準備をする

「〇〇さん、最初に血圧を測りますね。ちょっと手の方を失礼いたします」

患者さんはベッドに横になっている状態で布団の中に手があるため、声をかけたあとゆっくりと布団をめくって、手にそっと血圧計を装着する。

④血圧を測定する

「では血圧を測りますね」

⑤測り終わったら患者さんに結果を伝えて、丁寧に血圧計を外す

「〇〇さん、今日の血圧は上が△△、下が××でした」
「いつもと同じくらいなので問題ないですよ」
「血圧計を外しますね」

血圧を測るといっても、色々気を遣うことはあります。

 

 

声をかけずに布団をめくったり、手をぐっと掴んだりすると患者さんは緊張してしまいますし、声のかけ方もできるだけゆっくり穏やかに患者さんの目を見て話すように心がけています。

別の看護師さんの時は血圧が問題なくて、特定の看護師さんの時だけ血圧が高いのは、おそらく患者さんが緊張してしまうようなことをしているのだと思います。

今回は血圧の話でしたが、他のちょっとしたことでも患者さんが緊張することはあると思いますので、できるだけ意識して行動したいです。

 

どの鍼が頭痛に効いたのですか

先日、当院で鍼灸を受けた患者さんから質問された話をいたします。

「頭痛がすごく楽になったのですが、どの鍼が頭痛に効いたのですか?」

これはとても難しい質問です。

一ヶ所しか鍼をしていないのなら、それが効いたかどうか分かります。

ただ、何ヶ所も鍼をした場合、さらに複数の鍼をしばらく刺しっぱなしにしておいた場合、その中のどれが効いたのかを判断するのは難しいのです。

 

 

一ヶ所鍼をするたびに、「頭痛は楽になりましたか?」と効くのも煩わしく、患者さんもいちいち答えるのは面倒です。

仮に、今回は首の鍼で楽になったとしても、次回また頭痛があった時に同じように首の鍼で楽になるとは限りません。

頭痛の原因が一つではなく複合的な場合には、何ヶ所も刺激したことで、楽になることもあります。

今回の患者さんのケースでは、首のコリ、目の疲れ、自律神経の問題など、様々な不調があり、それぞれ体の反応が出ている箇所に鍼をしていったことで楽になったと考えています。

 

 

また、以前に別のブログでも書きましたが、症状が楽になるのは鍼だけの効果ではなく、

「患者さんが安心できる環境で、心地よく施術を受けられるか?」

という要素も大切だと考えています。

ブログ:鍼灸マッサージを行うための環境も大切
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/treatment-environment-important

今回は、患者さんから質問された話を書いてみました。

患者さんにも上記の話をしたら、納得していただきました。

単純に、「ここに鍼をしたら楽になる」と分かればよいですが、一筋縄ではいかないものです。