初めての鍼灸で付き添いの方の見学

今回は、初めて鍼灸やマッサージを受ける場合に安心感を得るために行っている「付き添いの方の見学」について書きます。

初めて鍼灸やマッサージを受ける患者さんは、

・どんなことをするのだろう

・痛くないのかな、熱くないのかな

・鍼や灸をする前に説明してくれるのか

・突然服をめくられたりしないだろうか

など、不安に思っていることも多いと思います。

 

 

当院では、患者さんに付き添いの方がいる場合、一緒にお話しを聴いていただいたり、施術室に入って見学していただくことが可能です。

特に、小・中学生、高校生の患者さんの場合、初めての際には必ず保護者の方も一緒にいらっしゃるようお願いしています。

小・中学生、高校生以外にも、ご夫婦や友人同士など、付き添いの方と一緒にいらっしゃることもあります。

その場合も、付き添いの方に

「施術室に一緒に入りますか?待合室でお待ちいただきますか?」

と伺って、患者さんと相談して決めていただくようにしています。

 

 

私は鍼灸マッサージで施術効果を高める前提として、

「患者さんの安心感」

というのがとても大事だと考えています。

例えば、病院で手術を受ける場合や介護を受ける場合、不動産や車など大きなお金が動くような場合には付き添いの方がいると相談もできますし、とても安心だと思います。

そのため、付き添いの方に一緒に施術室に入っていただくことで、付き添いの方にも施術の説明や施術そのものを見ていただくようにし、患者さんの安心感を高めるようにしています。

施術をしながら、患者さんが

「鍼、全然痛くないよ」

「お灸が温かくて気持ちいい」

などと、付き添いの方に声をかけることで、患者さんおよび付き添いの方の安心感が高まります。

もちろんそれが施術にもよい効果を及ぼします。

時には、付き添いの方が「今度私も受けてみようかな」と思っていただけたら幸いです(笑)

ということで、一人でいらっしゃるのが不安な方は、ぜひお付き添いの方と一緒にご来院下さい。

 

 

施術中の電話応対の出来事

先日、定期的にいらして下さる40代の女性患者さん(以下Aさん)に言われた言葉が嬉しかったので紹介いたします。

Aさんの施術中、当院の電話が鳴りました。

この時間帯は妻や受付スタッフがおらず私一人でしたので、

「ちょっと失礼します」

とお断りして私が電話に出ました。

「はい、西ヶ原四丁目治療院です」

予約の電話だったので、予約を取ってすぐに施術に戻りました。

 

 

「失礼いたしました」

とAさんにお伝えしたら、

『先生は電話でも声が明るくて元気だから安心しますね。
私が電話で予約した時も、今電話して大丈夫かな、と思いながら電話したのですが、
明るい感じだったので、安心して話すことができました』

というお言葉を頂戴いたしました。

施術を中断してしまったにも関わらず、本当にありがたいことです。

施術中に電話が鳴ると、焦ってしまったり、ちょっとイライラしてしまったりしがちですが、それはこちらの勝手な都合です。

 

 

電話して下さった患者さんには何の関係もないことなので、焦る気持ちを抑えながらできるだけ元気に明るく応対するように意識しています。

特に初めてお電話をする患者さんは、不安な気持ちで電話をしていることもありますので、こちらの焦りやイライラが伝わると、「この治療院で大丈夫かな?」と思われてしまうかもしれません。

それと同時に、施術を中断してお待たせしている患者さんにも私の電話応対が聴かれているということも意識しなければいけません。

私がイライラして電話で話していると、それが施術を受けている患者さんを不安にさせ、その後の施術にも影響してしまう可能性があるからです。

Aさんのちょっとした一言から電話応対の大切さを改めて実感した出来事でした。

 

施術中のながらスマホ

現在、「ながらスマホ」が問題となっています。

特に、自動車及び原動機付自転車などの運転中に関しては罰則が強化されており、それ以外に自転車や歩行車にも注意喚起されています。

参考:政府広報オンライン やめよう!運転中の「ながらスマホ」違反すると一発免停も!
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201707/2.html

 

 

また、一部の自治体では、「歩きスマホ」を公共の場所で行うことを防止することを目的とする条例が制定されているそうです。

参考:一般財団法人 地方自治研究機構 歩きスマホ防止に関する条例
http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/049_taching_smartphone_on_walking.htm#:~:text=%E3%81%A6%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%82%E3%80%8D-,%EF%BC%88%EF%BC%95%E6%9D%A1%EF%BC%91%E9%A0%85%EF%BC%89%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%AB%E3%80%81%E3%80%8C%E4%BD%95%E4%BA%BA,%E8%A6%8F%E5%AE%9A%E3%81%AF%E7%BD%AE%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%82

 

 

そんな中、先月から訪問施術に伺っている患者さん(以下Aさん)から、訪問施術中の「ながらスマホ」の話を聞きました。

Aさんは、以前は別の業者の訪問施術を受けていました。

何度か施術を受けていたら、うつ伏せになっている時に途中から手が止まっている感じがあり、気になっていました。

そこで施術中に首を起こしてみたら、施術者は片手でスマホを操作しながら施術をしていてびっくりしたそうです。

Aさんが見ていることに気付いた施術者は何も言わずサッとスマホをしまったようですが、そこで不信感が芽生えてその業者の訪問施術を断ったということでした。

 

 

今は施術中でも「ながらスマホ」問題があるのだなと私も驚きました。

患者さんが見ていないからといって施術中に「ながらスマホ」をするのはとても失礼な行為であり、施術がおろそかになりますし、そんな施術者は真剣に施術していないので、断って正解だと思いました。

ちなみに、私は訪問施術中に電話がかかってきた場合(※)には、患者さんに一言断りを入れて電話に出て、電話が終わったあとは「失礼しました」と必ず声をかけています。

※ 当院は時間帯によっては私一人の時もあるため、外出時は院内の電話を携帯に転送しています。

今の時代、携帯電話は便利で手放せないものになりましたが、時と場合をわきまえて使う必要があることを認識した出来事でした。

 

 

問診表で職業を伺う理由

当院では、初めていらっしゃった患者さんに問診表の記入をお願いしています。

 

 

その中に、「職業」という欄があるのですが、

「会社員」

と記入される方が多いです。

他には「自営業」、「公務員」なども多いです。

専門職の場合には、「医師」、「看護師」、「介護職」、「教員」、「弁護士」、「デザイナー」、「システムエンジニア」など、具体的に記入される方もいらっしゃいます。

ちなみに、アメリカでは「会社員」(company employee)と書く人はおらず、、実際に就いている職業、銀行員(banker)や弁護士(lawyer)、一般企業で働いている方であれば、営業担当(sales representative)、開発担当(ソフトウェアならsoftware engineer)など職種を書くのだそうです。

引用サイト:翻訳会社川村インターナショナル
職業欄には何と書く?アメリカ在住スタッフが伝える日米の職業観の違い
https://www.k-intl.co.jp/blog/B_210602A

 


少し話は逸れましたが、当院で「職業」を伺っているのは、

「その患者さんが普段どんなことをしていることが多いのか」

を知りたいからです。

しかし、

『なんでそんなことを答えなきゃいけないの?ただ腰が痛いのを治してほしいだけなんだけど』

とおっしゃる方もいらっしゃるので、そのような場合にはなぜそれを知りたいのかを丁寧に説明していきます。

 

 

患者さんが普段座りっぱなしのことが多いのか、運転していることが多いのか、動いていることが多いのかなどによって、体の凝り方や使い方、気を付けることが変わってきます。

また、育児をしていたり、介護をしていたりといったことも患者さんの症状やつらいところに関係している可能性が高いので、差し障りのない範囲で伺っています。(もちろん話したくなさそうにしている場合には無理に伺うことはいたしません)

職業が「会社員」であっても、デスクワークが多いのか、外回りが多いのか。

デスクワークでも資料を作成するのか、数値を分析するのか、マウスをクリックすることが多いのか、テレワークでずっと家にいるのか。

外回りでも車で移動することが多いのか、電車やバスで移動したり歩くことが多いのか。

 

 

例えば職業が「看護師」でも病院に勤務しているのか、夜勤はあるのか、訪問看護なのか、高齢者の相談業務なのか、などできるだけ具体的に伺うようにしています。

それは、普段何をしていることが多いのかということが、体や心にも大きく影響していると考えているからです。

いらした患者さんの中には

・会社員の方:右肩から腕が痛い 
→ 設計関係の仕事をしていて、1日にマウスを7000~8000回クリックしている

・看護師の方:肩と腰が痛い
→ 夜勤はないが、看護師長をしておりコロナ禍でシフトを調整したり、メンタルケアをするのが大変

・会社員の方:肩こりと頭痛がつらい
→ 建築現場の指揮をしていて休みや出勤時間が不規則、夜中に出勤することもある

・薬剤師の方:肩と背中が痛い
→ 高齢の母親の介護をしていて夜中もトイレに連れて行ったりと負担が大きい


といったように、色々と仕事の内容やそれ以外の話を伺う中で分かってきたこともあり、それが治療方針を考えたり体の使い方の助言をするのに役立っています。

 

 


初対面でどこまで聴くべきか、さじ加減も難しいので、話したくなさそうな感じかどうか、雰囲気を察するよう常に気を配っています。

患者さんのつらさに寄り添いながら、痛みやつらさの元となっている原因を探りつつ、一緒に解決策を考えていく事ができたらいいなと思います。

外国人の患者さんを救急外来に紹介した話

先日、新規の外国人の患者さんを病院の救急外来に紹介しましたので、その話をいたします。

ある日曜日の朝、当院に電話がありました。

電話を取ると、「Hello」と電話口では英語をお話されています。

英語で

「英語が話せますか?」

というようなことを聞かれたので

『little』

と答え、逆に私が英語で『日本語は話せますか?』と聞いたら

「little」

ということで、英語と日本語が少しずつしか話せない同士の会話です(笑)

 

 

色々やりとりしながら、なんとか英語の言葉でfootとpainが聞き取れ、日本語で「足」、「痛い」ともおっしゃっていました。

こちらも「eleven o’clock appointment OK?」などと言いながら、11時の予約を取りました。

11時少し前に、二人の外国人の方がお見えになりました。

日本語を話せる方を連れて来てくれたのかなと思いきや、お連れの方も日本語が話せないようです。

いらした時から足をひきずっていて歩くのがつらそうでした。

 

 

イスに座っていただき、翻訳アプリを使いながら問診を行いました。

聴き取った内容をまとめると、以下のような感じです。

「昨夜から突然、右足の親指が腫れて痛い。ぶつけたり、ひねったりといったことはなく、きっかけは不明。何もしていなくても痛くて、親指を付いて歩くことができない。以前にも似たような痛みがあったが、その時にはすぐに落ち着いた。現在服用しているのは頭痛で処方された薬のみで、大きな病気やケガをしたことはない」

実際に足を見たところ、右足の親指のあたりが左に比べて腫れていて、少しでも動かすと痛みがあるとのことでした。

お話を聞きながら、外傷性ではなく内科系の疾患で、これは当院では対処できないと思いました。

この日は看護師の妻もいたので、妻にも相談したところ同じ意見でした。

そこで患者さんに

「この症状は、外傷性ではなくおそらく内科系の疾患で、はり・きゅう・マッサージでは対処できません。病院に行って診てもらった方がよいです」

と説明しました。

 

 

しかし、この日はあいにく日曜日のため、ほとんどの病院が休みです。

そこで、近くで救急外来をやっている病院を調べて診てもらえるか確認することにしました。(患者さんの住所も当院の近くでしたので、今後通院することも考慮して近場がよいと考えました)

患者さんは日本語がほとんど話せないため、私が病院に電話をして、患者さんには都度必要なことを確認するやり方にしました。

一番近い病院は断られて、次に近い病院は話を聞いてくれました。

・電話した病院への通院歴
・患者さんの名前と生年月日
・私と患者さんの関係
・日本語ができるか
・いつから、どこが、どのように痛い?
・指を曲げることはできるか?
・歩くことはできるか?
・発熱の有無、ワクチン接種の有無
・日本の保険証の有無、お薬手帳の有無

などのことを、翻訳アプリを使い都度患者さんに確認しながら答えていきました。

そして、何とか受け入れていただけそうでしたが、最後に

・日曜日のため専門医ではないかもしれないが、それでも今日診てほしいか?明日だったら専門医が診ることができる

・休日加算で料金が高くなるが、それでもよいか?

と聞かれたので、それを患者さんに伝えたら

「Today!!」

と強めにおっしゃったので、『今日診てほしいそうです』と病院の窓口の方に伝え、では今からいらして下さい、と受け入れていただくことができました。

 

 

患者さんにその病院の地図を渡して、

『この病院で今日診てくれるということなので、受付で名前を伝えて、保険証とお薬手帳を渡して下さい』

と伝え、患者さんはお連れの方と病院へ向かいました。

本当は最初の電話の時点で詳細の症状を把握できていれば、当院にいらっしゃる必要はなく、患者さんが直接病院に連絡して病院を受診することもできたかもしれません。

しかし、電話での医療英語のやり取りは難易度が高すぎますし、電話越しで翻訳アプリを使ってやり取りするのも時間がかかったり聞き取りにくかったりで大変ですので、当院としては精一杯の対応でした。

その後、こちらの患者さんから連絡はありませんが、無事に病院に行くことができて症状が落ち着いているといいなと思います。