今回は「回数券」について書きます。
回数券は何回も利用する人のために、使用期限を定めて1回あたりの料金を割り引いて、数回分をまとめて販売するものです。
乗車券、入場券、飲食券などの形で、公共交通機関、美容サロン、レジャー施設、フィットネスクラブ、飲食店など多くの業種で使用されています。
特に電車やバスなどで多く使われていましたが、回数券の利用減少や交通系ICカードの利用増加に伴い、現在では廃止されるところが増えているようです。
鍼灸院やマッサージ院、整骨院など、施術を行う業界でも回数券を導入しているところもあります。
回数券を導入することで、
・お店側はまとまったお金が手に入る
・患者さん側は1回あたりの施術を割り引いた料金で受けられる
といったメリットがあります。
一方、
・事故や病気で入院をすることになった場合、有効期限内に使えない可能性がある
・通う必要がなくなって、使わなくなっても返金できなかったり、返金できても損をする可能性がある
・気に入った施術者がいたから通っていたのに、その施術者がやめてしまった
などのデメリットも考えられます。
当院でも何度か患者さんに
「回数券はありますか?」
と聞かれたことがありますが、当院では回数券を導入していません。
回数券を導入しないのには、大きく2つの理由があります。
①個人事業でやっているから
個人事業でやっていると、私が病気になったり、怪我ををした場合、一定期間営業ができなくなる可能性があります。
(最悪の場合はそのまま廃業する可能性も考えられます)
その場合、「せっかく回数券を購入したに使えなかった」と患者さんに不利益が発生することが考えられます。
脱毛やエステサロンでも、高額契約をしたあとに倒産、といったトラブルも増えているようです。
参考サイト:脱毛エステ「今日なら安くなる」と言われ…高額契約後に倒産も、トラブル急増
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230207-OYT1T50071/
近年ではスーパーが予告なく閉店し独自の電子マネーのお金が戻らなかったというニュースもありました。
参考サイト:MONEYIZM 「電子マネー」にチャージしていた店が突然閉店残金は返金されるのか?
https://www.all-senmonka.jp/moneyizm/news/76719/
電子マネーと回数券、種類は違いますが、前払いしておくこと、割引などの何かしらの特典があることは共通しています。
個人事業でやっていると営業できなくなるリスクもあるため、できるだけ患者さんに迷惑をかけたくないと考えています。
②予約がとれないと不信感につながるから
お店を続けていると、日によっては予約枠がいっぱいになる日もあります。
もし回数券を購入している患者さんが予約をしようとした際、
「本日は予約がいっぱいで受けられません」
ということが何度かあったら、どう思うでしょうか?
回数券だけ売りつけて予約を取れないようにしているのではないかと不信感をもつと思います。
個人事業でやっているので、1日に施術できる人数には限りがありますし、年末や長期連休の終盤など混みあう時期は数日にわたって予約枠がいっぱいになることもあります。
公共交通機関やホテル、映画館など席がいっぱいあったり、飲食店など順番を待てばよい業種なら問題ないですが、小規模店の場合には回数券を買っても予約できないケースが考えられます。
患者さんに不信感をもたれたら、信頼関係がなくなってしまうと思います。
ちなみに、私は都電荒川線に乗るときには1000円の回数券を購入しています。
参考サイト:東京都交通局 お得な乗車券
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/toden/fare/otoku_kaisuken.html
東京都が運営しているものなので、倒産や廃業のリスクは極めて小さく、もし回数券をやめる場合にもきちんと廃止期限が通知されるだろうと考えているからです。
有効期限もないので、もし私自身が使えなくなっても、他の人に使ってもらってもよいとも考えています。
このように、回数券を有効活用できるケースもあるとは思いますが、個人事業でやっている鍼灸マッサージ院には回数券は合わないと考えています。
今回は回数券について私が考えていることを書いてみました。
当院では回数券は導入しませんが、回数券が利用しやすい業種や規模があると思いますので、上手に利用していただくのがよいと思います。