医療は「生活」に出会えるか

医療は「生活」に出会えるか(医歯薬出版)
竹内孝仁

高齢化が進み、病気を治せばもとの生活に戻れるという考えは成り立たなくなってきた現代社会。

本書は、老人医療に「生活」という視点を加えることによって、老人の行動を促して主体性を尊重していく取り組みの有用性が示された良書だと思います。

人

おむつ外しによる褥瘡の防止や、個室ではなく食堂で食事をしてもらったり、少しずつ寝たきりや閉じこもりを減らしていく取り組みが紹介されていて、勉強になりました。

 

寝たきりではなく少しでも自分で動けるようになることで、多くの選択肢ができ、自分でそれを選ぶことができるようになることで豊かな生活を取り戻す一助になると思います。

 

また、老人にもできることをやってもらおうということで、掃除用具を工夫して掃除してもらったり、誰かのお世話を手伝ってもらったりしながら、その場に対する「役割」を与えることによることで主体性を回復させていくやり方は有効だと思いました。

 

本書は1995年に出版されていますが、20年経った今でも多くの老人施設で役に立つのではないかと思います。

医者の本音

医者の本音(SB新書)
中山祐次郎

医者が本音を語りにくい問いかけに対して、可能な限り率直に本音を語った良書でした。

分かりやすい例をあげながら、

・「様子を見ましょう」の裏でどんなことを考えているのか?

・大丈夫です!と言いながらどんなことを考えているのか?

・告知すべきかどうかの判断基準

・口コミの信頼度

などが解説されていて大変勉強になりました。

医者

 

また、待ち時間についても、病院は営業しなくても患者が集まるところだから、医療以外のサービス向上には目が向かず

「待ち時間を短縮しても、病院の質の向上には結びつかない」

と考えられているからという意見には納得できました。

 

医者がかかりたくない医者4つの条件は、私も治療家として当てはまるものがあるので、自分自身にも言い聞かせたいと思います。

・話を聞かない医者、話を遮る医者

・白衣がヨレヨレな医者

・看護師や若手医師に高圧的な医者

・「わからない」と言えない医者

患者と医者の大きな溝を埋めることの第一歩となる一冊だと思いました。

病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト

病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト(いろは出版)
仲本りさ


新人看護師の苦労と葛藤を、実体験を元にした言葉と、分かりやすいイラストで描いた良書でした。

特に、本書のテーマとなっている「患者さんの死」について、著者がどのように乗り越えていったのかの描写が素晴らしかったと思います。

「きよさんが教えてくれたこと 後編」では、とうとうその日を迎えるのですが、最後まで患者さんに寄り添う姿が目に焼きついており、最後は思わず泣けてきました。

病院

そのほか、医療従事者として、以下の言葉が印象に残っています。

・患者さんが亡くなるのは怖い。

けど今は、私が受け持ちの日を選んでくれたんだなと思っている。
反対に、自分が担当じゃなかった時は、私には見せたくなかったんだなって。

・医療者はさ、患者さんと、その人を大事に想う人たちを、少しでも幸せにしなくちゃいけないんだ。今日はもう取り戻せない。だからこそ、「腕を磨く」しかない。

・患者さんのことを知ろうとすると、病名や検査結果などの医療情報が大半を占める。

そのため、患者さんの人となりに触れるチャンスはすごく少ない。だからこそ、意識的におしゃべりをして、病気とは関係なく患者さんが今までどんなふうに生きてきたのかを知りたい。それは患者さんのためというだけでなく、私たちが「病気」ではなく「人」と関わっていることを忘れないようにするため。

患者さん

癒しの心得

癒しの心得(旬報社)
上野圭一/山本竜隆/おのころ心平

「癒す心、治る力」のアンドルー・ワイル博士に感銘を受けた3人の男たちによる、人の癒しに関する対談集です。

自然治癒力を高めるために必要なヒントが満載でした。

治癒力

私が特に印象に残った内容を抜粋しました。

・薬なりセラピーなりが効くための三大条件がある。

1番目は患者がその治療法の効果を信じていること
2番目は治療家がその治療法の効果を信じていること
3番目は患者と治療家が互いに信じあっていること

・いかにプラシーボを引き出すかが医者にとっての腕の見せどころなんだ。

(川西秀徳先生)医療現場ではとにかく「効くこと」が大事なので、お薬を処方する際も言葉添えをちゃんとやらなきゃいけないが、日本の医学教育ではそこが全くできていない。プラシーボも患者さんへの大事な処方箋である。

・西洋医学の理論的な思考で学んだ医者は壊れた道具を治す、壊れた車を治す修理工のような、そういう気持ちになるが、そうではなく、ガーデナー(庭師)になろう。

自然を見つめて、その力を活用しながら、人間のセンスも加えて、美しく健康な庭にしていくことだ大事。

・患者さんを治すという感覚ではなく、この患者さんにとっていい診療環境や場を提供しようと考える。

できるだけ、その人を明るくしたり判断しやすい状況をつくることをベースにおく。納得できる、腑に落ちる状況が必要。

・医療サービスという商品を買う。

医療消費者は、旅行するときのように、もっと賢くなって自分の既往歴とか、ライフスタイルに対する見解とか、そういうものをもって何か問題があったときに医師に相談に行って、旅行社に頼むように、明確に自分の希望を述べたり相談ができる消費者に成長していかなければならない。

ハガキ道

ハガキ道(PHP研究所)
坂田道信

ハガキを書き始めたことで人生が変わった著者の実体験と、その学びを余すことなく伝えた一冊で勉強になりました。

近年ではメールやLINEなどの通信手段が発達し、簡単に、便利に用件を伝えたり連絡をとることができるようになりました。

コミュニケーション

しかし、自筆でないため心が伝わらないような気がするし、手間ひまかけたハガキに比べると出す側、受ける側の思いの込め具合が違うと思います。

熱意や誠意は面倒くさいことを自分のためだけにしてくれた人に感じる、という著者の考え方には共感できました。

ハガキを書くから売上げがあがるのではなく、手書きのハガキが届けられるような魅力的な自分になるからこそ、その結果として売上げがついてくる。

はがき

自分の仕事に命を吹き込み、自分自身を欺かず損得抜きで仕事をする姿勢が大事だということも納得できました。

私も今年から実践してみようと思います。