昭和を代表する治療家として、名灸師といわれた深谷伊三郎先生がおります。
深谷先生が残した灸法基本十項を紹介します。
- 経穴は効くものではなく、効かすものである。
- 成書の経穴部位は方角を示すのみ。
- 経穴は移動する。
- 名穴を駆使して効果を挙げよ。
- 少穴で効果を挙げるべきである。
- 反応のない穴は効き目が少ない。(出ないものは出すようにする)
- そこが悪いからと、そこへすえても効果はない。
- 名穴であっても、ただそれだけに効くのではない。
- もぐさの大小壮数は患者の体質に合わせよ。熱くないところは熱くなるまですえる。
- 経穴は手際よく取穴せよ。
深谷先生は、深谷灸法という独自の灸法を確立しました。
深谷灸法の特徴は、透熱灸専門、奇穴多用、名灸穴多用、遠隔取穴、少穴取穴、深谷式灸熱緩和器を使うことにあります。
最近では、熱い・灸痕が残るという理由により、透熱灸をすえる人は少なくなっています。
私も透熱灸をすえることは少ないですが、深谷先生の教えを生かして治療にあたっています。
参考文献:深谷灸法経穴便覧 ビジュアル 経穴活用宝典(鍼灸之世界社)

お灸で病気を治した話〈第1集〉―灸堂臨床予録 (1980年)