当院では、初めていらっしゃった患者さんに問診表の記入をお願いしています。
その中に、「職業」という欄があるのですが、
「会社員」
と記入される方が多いです。
他には「自営業」、「公務員」なども多いです。
専門職の場合には、「医師」、「看護師」、「介護職」、「教員」、「弁護士」、「デザイナー」、「システムエンジニア」など、具体的に記入される方もいらっしゃいます。
ちなみに、アメリカでは「会社員」(company employee)と書く人はおらず、、実際に就いている職業、銀行員(banker)や弁護士(lawyer)、一般企業で働いている方であれば、営業担当(sales representative)、開発担当(ソフトウェアならsoftware engineer)など職種を書くのだそうです。
引用サイト:翻訳会社川村インターナショナル
職業欄には何と書く?アメリカ在住スタッフが伝える日米の職業観の違い
https://www.k-intl.co.jp/blog/B_210602A
少し話は逸れましたが、当院で「職業」を伺っているのは、
「その患者さんが普段どんなことをしていることが多いのか」
を知りたいからです。
しかし、
『なんでそんなことを答えなきゃいけないの?ただ腰が痛いのを治してほしいだけなんだけど』
とおっしゃる方もいらっしゃるので、そのような場合にはなぜそれを知りたいのかを丁寧に説明していきます。
患者さんが普段座りっぱなしのことが多いのか、運転していることが多いのか、動いていることが多いのかなどによって、体の凝り方や使い方、気を付けることが変わってきます。
また、育児をしていたり、介護をしていたりといったことも患者さんの症状やつらいところに関係している可能性が高いので、差し障りのない範囲で伺っています。(もちろん話したくなさそうにしている場合には無理に伺うことはいたしません)
職業が「会社員」であっても、デスクワークが多いのか、外回りが多いのか。
デスクワークでも資料を作成するのか、数値を分析するのか、マウスをクリックすることが多いのか、テレワークでずっと家にいるのか。
外回りでも車で移動することが多いのか、電車やバスで移動したり歩くことが多いのか。
例えば職業が「看護師」でも病院に勤務しているのか、夜勤はあるのか、訪問看護なのか、高齢者の相談業務なのか、などできるだけ具体的に伺うようにしています。
それは、普段何をしていることが多いのかということが、体や心にも大きく影響していると考えているからです。
いらした患者さんの中には
・会社員の方:右肩から腕が痛い
→ 設計関係の仕事をしていて、1日にマウスを7000~8000回クリックしている
・看護師の方:肩と腰が痛い
→ 夜勤はないが、看護師長をしておりコロナ禍でシフトを調整したり、メンタルケアをするのが大変
・会社員の方:肩こりと頭痛がつらい
→ 建築現場の指揮をしていて休みや出勤時間が不規則、夜中に出勤することもある
・薬剤師の方:肩と背中が痛い
→ 高齢の母親の介護をしていて夜中もトイレに連れて行ったりと負担が大きい
といったように、色々と仕事の内容やそれ以外の話を伺う中で分かってきたこともあり、それが治療方針を考えたり体の使い方の助言をするのに役立っています。
初対面でどこまで聴くべきか、さじ加減も難しいので、話したくなさそうな感じかどうか、雰囲気を察するよう常に気を配っています。
患者さんのつらさに寄り添いながら、痛みやつらさの元となっている原因を探りつつ、一緒に解決策を考えていく事ができたらいいなと思います。