病気自慢ではなく健康自慢に

70代の患者さんから聴いた話です。

その方は昨年の12月から腰痛がひどく、歩くのも大変だったのですが、徐々に回復し現在は健やかに過ごしておられます。

 

 

毎週通っていたボーリングも腰痛が治ってから再開しました。

その際、ボーリング仲間の方々に、どんなにつらい腰痛だったかお話されたそうです。

すると、、、

・私なんて膝が痛すぎて手術して大変だったのよ

・私は転んで大腿骨を骨折して3か月入院していたんだから

・私だって腎臓が悪くて食事制限がきつくて…

・私なんて夫の介護で自分の体が痛くなってどれだけ大変だったか…

といった感じで病気自慢大会が始まってしまったそうです。

 

 

皆さん、大変な苦労をしてこられて、自分がいかに大変だったかを聴いてほしいのですね。

また以前は別の70代の方が、同窓会に行くと皆病気や介護の話ばっかりで気分が滅入るとおっしゃっていました。

そこで、提案です。

病気自慢ではなくて、健康自慢にしたらいかがでしょうか?

・私は膝が痛くて大変だったけど、こんな運動をしたら楽になって今では杖なしで歩ける

・私なんて毎日ラジオ体操をして、昼間は5000歩、歩いているのよ

・私だって毎週ヨガに通ったり、アクアビクスで体を動かしているんだから

・私は毎日ワンチャンの散歩をしてそれがよい気分転換になっているわよ

・私は定期的に鍼灸治療を受けて体の不調を整えてもらっているよ

などなど、元気でいるためにやっていること、やって良かったことなどを自慢するのです。

 

 

もちろん、「だからあなたもやりなさいよ」と相手に押し付けるのはダメです。

「こんなことをやったらいいのかも」と相手に密かに思ってもらう方がよいです。

そうやって、良さそうなことを話していると、気分が明るくなって元気になることもあると思うのです。

ですから、もし病気自慢大会になりそうだったら、

「今なんで元気でいられているの?」

「すごく元気だけど、健康のために何かやってることある?」

なんて聞いてみると、話の流れが健康自慢の方向に変わるかもしれません。

 

 

褥瘡に関する気付き

褥瘡(じょくそう)に関して勉強になった書籍がありましたので、紹介いたします。

『医療は「生活」に出会えるか』 竹内孝仁 著

褥瘡は主に寝たきりの患者さんに対して、骨の突出部などを長時間圧迫することによってできるものです。

ふだん体重などを支えることのない仙骨部、かかとの後上方、腓骨頭などが好発部位となります。

 

 

つまり、「通常では体重のかからない部位を長時間圧迫する」ことによってできます。

あらためて人体を眺めてみると、長時間の圧迫に耐える場所があります。

足の裏、殿部から大腿後面にかけての部位などがそうです。

長い時間立っていたり、座り続けても褥瘡をつくることはないのです。

 

 

褥瘡予防というと、基本的に「体位変換」が原則となっていますが、それは昏睡状態や不安定な全身状態にある急性期の患者さんに対する方法であったそうです。

それが慢性期の寝たきり患者さんたちにも同じ方法がとられていることが問題であると著者は述べています。

 

 

その結果、体位変換をやめて、「座る」という平凡なことが褥瘡を予防する優れた方法になると気付きました。

長いこと寝たきりの患者さんの場合、起立性低血圧を起こしたり、首や体幹の筋肉が弱くなっているため、座位の姿勢を長くとることは難しいかもしれませんが、少しずつでも続けていくことで、褥瘡が減少していったそうです。

 

 

私たちは、普段何気なく座ったり、立ったり、歩いたりしていますが、当たり前すぎてそれ自体が健康を保つ重要な働きをしていることを忘れがちです。

褥瘡という病気を治す力の源泉が、実は生活の中にあったというのは大きな気付きだと思いました。

 

何個覚えていますか?

認知症の検査方法の一つに長谷川式認知症スケールというものがあります。

長谷川式認知症スケールでは、今日の日付や今いる場所、簡単な計算、知っている野菜の名前など、いくつかの質問をするのですが、その中に3つの言葉を覚えておいてもらい、それをあとでまた聞くという質問があります。

 

 

ある講習でこの話をした際、講師の方が

「今から12個のものを見せますので、覚えて下さい。あとでまた聞きますよ」

とおっしゃって、順番に出していきました。(講師が出した順番は覚えていませんので順不同です)

 

・うちわ、ベル、くし、鏡、ボールペン、スプーン、財布、お守り、コースター、洗濯ばさみ、髪ゴム、ペットボトル

 

あとでと言いながら、それほど時間をおかず数分後に

「何個覚えていますか?覚えているものを書いてみて下さい」

と言われました。

 

 

懸命に思い出そうとしたのですが、なかなか出てきません。

結果は、、、

12個のうち、7個を書くことができました。

 

・うちわ、ベル、ペットボトル、くし、鏡、ボールペン、髪ゴム

 

これが多いのか少ないのかは分かりませんが、10個くらいは思い出せるかなと思っていたので、思ったよりも書けなかったことにびっくりしました。

試されているようでちょっと怖いかもしれませんが、たまには自分の記憶力を試してみるのもよいかもしれません。

40代になり、記憶力も少しずつ衰えていることを実感した経験でした。

 

 

シルバー人材センター

みなさんは「シルバー人材センター」をご存じでしょうか。

北区シルバー人材センターは、北区在住の高年齢者が働くことを通じて生きがいや生活感の充実を図ると共に、地域社会の活性化に貢献する組織です。(公益社団法人 北区シルバー人材センターホームページより引用)

http://www.kita-sc.or.jp/

 

 

公園の清掃、自転車駐車場管理、施設管理、児童交通誘導、室内清掃、育児支援、調理、着付けなど、様々な仕事をしています。

誰かにちょっとだけ何かを手伝ってほしい、そんな時に気軽に依頼できます。

「シルバー人材センター」で働く人は60歳以上の方で、仕事をしたいという方を募集しているそうです。

 

 

・週5回フルタイムで働くのは難しいけれど、ちょっとした仕事はしたい

・時間があるから、何か自分にできる仕事を探したい

・誰かの役に立ったり、人と話したりしたい

 

という方におすすめだと思います。

 

 

当院にいらっしゃっている患者さんの中にも「シルバー人材センター」の仕事をしている方がいます。

一日1時間~2時間くらいでも、何か仕事をして生きがいを感じたり、誰かの役に立ちたいと考えておられるそうです。

人生100年時代と言われている中、健康寿命を延ばす方法の一つとして適度に働くのもよいことだと思います。

 

 

はたらく細胞の動画

先日、テレビを見ていたら、「はたらく細胞」という漫画が紹介されていました。

 

 

これは、赤血球、白血球、血小板、キラーT細胞などの体内細胞を擬人化して、体の中で何が起きているのかを描いた物語です。

 

 

新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、出版社の講談社は厚生労働省の協力のもと「はたらく細胞」の動画を作成したそうです。

<はたらく細胞>
https://shonen-sirius.com/saibou-movingcomic.html
(2022年3月末までの無料配信です)


「新型コロナウイルス編」
「感染予防編」

 

 

細胞がどんなふうに人間の体を外敵から守っているのか、漫画を通して解説されていました。

体の中の細胞が擬人化されることにより、それぞれの細胞がどんな役割を持っていて、どのように働いているのか、より身近に感じることができると思います。

 

 

興味がある方はよかったらご覧下さい。