聴こえ8030運動

産経新聞に掲載されていた記事からのご紹介です。

「 加齢性難聴で認知症リスク、検査を推奨 」という記事です。(2024/11/14 朝刊)

年を取るにつれて聴こえにくくなる加齢性難聴が認知症のリスクを高めることが明らかになってきています。

耳鼻科医らでつくる医学会では、人のささやき声に相当する30デシベルが80歳で聞き取れることを目標とする「聴こえ8030運動」を2024年9月から始めたという記事でした。

これは、80歳で20本以上自分の歯を残しましょうという日本歯科医師会の「8020運動」になぞられているそうです。

 

 

東海大医学部の和佐野浩一郎准教授の話では、加齢性難聴を放置すると社会的孤立に陥る確率が2.78倍、うつの発生率が1.48倍、認知症の発生率が1.37倍になるとの報告があるようです。

聴こえにくくなることが孤立やうつ、不安を増加させ認知症のリスクを上げることにつながります。

以前に私が参加した講習会でも、同じような話がありました。

ブログ:聴こえと健康な未来社会
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/hearing-healthy-future-society


本記事では、聞き返しや聞き間違えが多くなったら耳鼻科で聴力検査をすることを勧めていました。

一般的な健診では2種類の音の高さで25~40デシベルが聞き取れれば正常と判断されますが、耳鼻科の検査は防音室内で7種類の音の高さでどこまで聴こえるかを測定するので、異常が見つけやすいそうです。

聞き取りにくくなった場合には補聴器の利用が進められ、補聴器をつけることで、つけない場合と比べてうつや不安の発生率が14%減少、転倒の発生率は13%減少したとの研究もあるようです。

「目が見えにくいとメガネをかける」のは一般的ですが、「耳が聴こえにくいと補聴器をつける」というのはまだまだ普及していないのかもしれません。

 

 

私も「聴こえ8030運動」のサイトを見て「補聴器相談医制度」というものがあることを初めて知りました。

これは、難聴で不自由にしている人の補聴器の選択や相談に適正に対応することを目的にできた制度だそうです。

聴こえを保つことが健康寿命を延ばすことにもつながると思いますので、こうした活動が普及するといいなと思いました。

参考サイト:聴こえ8030運動
https://kikoe8030.jibika.or.jp/

 

習慣化と危機感

今回は患者さんと話していて気付いた「習慣化と危機感」について書きます。

肩こりや腰痛がつらいとき、病院や鍼灸マッサージ治療院に行って何かしらのストレッチを教えてもらったり、TVの健康番組でやっている体操をしたり、ということがあると思います。

 

 

ある患者さんがおっしゃっていたのですが、元気に働いていたときはストレッチや体操をやってみるものの、3日坊主になって継続できず、ということを繰り返していたそうです。

ところが、病気になってからは「その病気が悪化しないように」という危機感から、毎日ストレッチやヨガ、お灸などを継続して習慣化できているとのことでした。

継続するには「危機感」というのは一つのキーワードになると思います。

 

 

私も自分がはり・きゅう・マッサージの資格を取得後、何年か経ってからは毎朝10分~20分くらいストレッチを続けています。

「何年か経ってから」というのは、実はすぐには継続して習慣化することはできませんでした。

習慣化できるようになったのは整形外科で働き始めて、色々な副業をやっているときです。

参考ブログ:副業について
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/about-side-jobs/

なぜ習慣化できるようになったのか。

それは、自分が頭痛や腰痛、風邪をひいたりして体調を崩したり休んだりしたら、患者さんに迷惑がかかる、信頼が失われると考えるようになったからです。

ある程度の人数がいて共同で仕事をしている状況であれば、自分が休んでも代わりに誰かがやってくれる、カバーしてくれると考えることができますが、訪問施術やリハビリ型デイサービスの仕事は私が休んだら代わりがいない状況でした。

だからこそ、自分でしっかり体調管理をしなければという危機感をもつことができました。

 

 

この危機感は2019年にはり・きゅう・マッサージの治療院を開業してから、さらに強くなりました。

自営業の場合、自分が休んだら患者さんに迷惑をかけて信頼関係が損なわれると同時に、収入もなくなるからです。

そのため、開業して6年目となる現在でも毎朝のストレッチが習慣化しており、それを続けることでよい体調を保つことができています。

今回は「習慣化と危機感」について書きました。

ちなみに、危機感ではなく「目的意識」をしっかりもつことでも習慣化することはできるかもしれません。

習慣化できず悩んでいる人の参考になれば幸いです。

 

薬剤性軽度認知障害について

産経新聞に掲載されていた記事からのご紹介です。

「 高齢者に処方の睡眠・抗不安薬による軽度認知障害に警鐘 」という記事です。(2024/8/22 朝刊)

認知症の一歩手前である軽度認知障害(MCI)の原因として、アルツハイマー病や前頭側頭葉変性症、レビー小体病、血管性疾患、脳損傷、パーキンソン病などがありますが、高齢者がよく使う睡眠薬や抗不安薬でもMCIになり得るそうです。

本記事ではそれを「薬剤性軽度認知障害」として紹介していました。

 

 

物忘れやふらつき、怒りっぽさ、幻覚などの症状を訴えて受診してきた高齢者で、抗不安薬や睡眠薬をやめると症状が消えて、認知機能が改善した事例が少なくないそうです。

当院に腰や膝の痛みでいらしている患者さんの中にも、ふらつきや物忘れが増えたという患者さんがいて、

『最近何か変わったことはなかったですか?』

と伺うと、

「寝つきが悪くてなかなか眠れないので、睡眠薬を処方してもらいました」

という話がありました。

そこで、

『もしかしたら処方された睡眠薬が合わないのかもしれないので、お医者さんに相談してみた方がいいかもしれません』

とお伝えしました。

後日、お医者さんに相談して薬の処方を変えてもらったら、ふらつきや物忘れが落ち着いたそうです。

 

 

直近で新たに薬が増えたような場合には、他の薬との兼ね合いや、患者さんにその薬が合わない可能性もあるので、医師や薬剤師に相談してみることも大切だと思ったケースでした。

本記事でも、「家族が物忘れを訴え軽度認知障害を疑った場合でも、アルツハイマー病かなと思う前に、まずは薬の影響を見逃さないことが重要だ」という医師の話が書かれていました。

注意すべき薬は多岐にわたるそうで、日本老年医学会が作成した「多すぎる薬と副作用」というパンフレットが紹介されていたので、以下にサイトのリンクを付けました。


参考サイト:日本老年医学会 「多すぎる薬と副作用」(一般向けパンフレット)
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/20161117_01.html


服用したお薬がきっかけで軽度認知障害が発生しているかもしれない、と考える必要性を実感した内容でした。

 

 

からだをなおせるのは自分だけ

からだをなおせるのは自分だけ こころとからだを整える 伊豆ふるさと村 秋山先生の言葉
山田 剛 (著), 草野 かおる (イラスト), 山西 茂 (監修)


「食べものが血液をつくり、血液がからだをつくる」

著者が秋山先生から教えてもらったことを、実体験を交えながら説明していて説得力がありました。

 

 

以下、本書の内容を抜粋しながら、私が思ったことを記載しました。

・食べることは、生きることであると同時に、死に近づくこと(命を縮めること)
食べることで、からだのほぼ全ての器官や血液、細胞の稼動が迫られる。食べることはエネルギーを生み出す声明の活動に必要不可欠であると同時に、大きなエネルギーを使っている。栄養分が行き渡るのと引き換えに、からだの臓器や器官、血液や細胞は疲労し、消耗している

→これは本当にその通りだと思います。皆食べることは意識しますが、その結果、内臓や細胞が疲労していることは考えません。飲酒や喫煙とともに、食べすぎも病気の大きな要因になると思います。

 

 

・よく噛んで食べることで、消化・吸収、分解、解毒、排出などのエネルギーを抑え、消化に関わる器官の負担は大きく減少する

→食養で病気を治そうとする場合には100回以上噛む、と記載されていましたが、さすがにそれは難しいので、10回、20回、30回と少しずつでも増やしていくことで、消化器官の負担を抑えられるようにしたいと思いました。

 

 

・現代は、過去のどの時代と比べても食べすぎ。交通機関の発達、仕事の機械化、家事の省力化などが進み、からだを動かすことが大きく減り、エネルギーの消費が著しく減少しているのに、相対的に過剰摂取になっている

→江戸時代は腹八分といわれており、現代は腹半分、腹二~三分で十分と書かれていますが、空腹だとかえって間食してしまいそうなので、まずは腹八分。できるところからやっていこうと思います。

 

 

・動物は「安静・保湿・断食」でからだを癒し治す
・健康、長命の鍵は「小食・保温・安静」

→食べすぎないことにより、体の機能を回復させるのは、野生の動物を見ているとよく分かります。

・日本人が昔から食べてきたものを食べる

→主食は玄米、梅干、漬物、味噌汁。
副食は以下のものから旬のものを選び、一汁一菜~一汁三菜。

緑野菜類(ほうれん草・小松菜など)、根菜類(ゴボウ、ニンジン、レンコン、里芋など)、海藻類(昆布、わかめ、ひじき、のりなど)、きのこと豆類(しいたけ、大豆、そら豆など)小魚介類(じゃこ、きびなご、いわし、あじなど)

 

 

本書では、主に食養のことに触れられていましたが、食べもの以外にも飲みものや睡眠のことも知りたかったです。

また、都会で仕事をしていると食事の時間も不規則になりやすく、伊豆のような生活をすることも難しいです。

誰もが田舎暮らしができるわけではないので、どこまでやってくのか匙加減も大事だと思います。

よく噛んで食べる、腹八分で食べ過ぎない、まずはこれをやっていきたいと思いました。

 


からだをなおせるのは自分だけ こころとからだを整える 伊豆ふるさと村 秋山先生の言葉 (TOKYO NEWS BOOKS)

脊椎圧迫骨折の患者さんの声掛け

先日、脊椎の圧迫骨折(※)の病歴がある90代の患者さんがお見えになりました。

※参考サイト:一般社団法人日本骨折治療学会:骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折
https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip02.html

 

 

イスからの立ち上がり、ががむとき、ベッドに寝るとき、ベッドから起きるときなど、急に動くと痛みが発生し、しばらく痛い状態が続くのですが、少し休むと痛みが落ち着いてきます。

せっかちな患者さんですと、急に動こうとしてしまうのでとても大変です。

そこで、こちらの患者さんに痛みが出にくくなる方法を提案してみました。

 

 

◆起き上がったり、立ち上がるときに、「よっこいしょ」と声をかけながら動いてみましょう

 

ご年配の方になると、何か動作をするたびに、「よっこいしょ」、「よっこらしょ」、「どっこいしょ」とつい言ってしまうことがあると思います。

無意識にやっていることかもしれませんが、こうして言葉に出すことで、「これから動くよ」という心構えができるとともに、お腹に力が入りやすくなるようです。

参考サイト:「どっこいしょ」という口癖にまつわる噂についての文献的考察
http://www.ronenbyo.or.jp/hospital/tiikiriha/rehacolumn/rehacolumn_42.pdf

 

当院にいらしている患者さんにも実際にやってもらったところ、完全に痛みがなくなるわけではありませんが、かなり効果がありました。

加齢によって脊椎が変形してしまっている状態そのものを元に戻すことは難しいですが、ちょっとした声かけで痛みが少しでも楽になるのなら有効活用していきたいです。