母校が専門実践教育訓練の指定講座に認定されました

今回は、はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧の専門学校に関する話です。

私が3年間通った日本鍼灸理療専門学校が、厚生労働省の専門実践教育訓練の指定講座として認定されました。(日本柔道整復専門学校も同様です)

 

 

専門実践教育訓練の指定講座に認定されると、学校に支払った学費の一部があとから支給されます。

参考サイト:日本鍼灸理療専門学校・日本柔道整復専門学校
専門実践教育訓練の指定講座に全学科が指定されました!
https://www.hanada.ac.jp/20230808-524/

 

給付金の支給対象になるかは、「現在働いている」、「雇用保険加入期間が通算3年以上(初めて受給される方は2年以上)」、「教育給付金制度の利用は初めて」などの条件があるようです。

うまく利用すれば、最大で168万円の給付金を受給することができるそうです。(制度の詳細は専門学校またはハローワークにご確認下さい)

専門実践教育訓練給付金
https://www.hanada.ac.jp/campus/support.html

 

 

専門学校にもよりますが、鍼灸マッサージの専門学校の学費は入学金も含めると450万~550万(※)くらいかかります。

※ 取得する資格が、「はり・きゅう」、「あん摩マッサージ指圧のみ」、「はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧の三つ」によっても異なりますので、興味がある方は調べてみて下さい。

学費以外にも、教材費や白衣、講習会の費用、国家試験受験料などもかかるため、結構な出費になります。

ちなみに、私が受験した時は一つの国家資格の受験料が3万円だったので、はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧の三つを受験するだけで9万円かかりました。

もし社会人の方で、鍼灸マッサージの専門学校に行くことを考えている場合には、給付制度を上手に利用するとよいと思います。

 

 

はり・きゅう・マッサージ師の経験の積み方②

前回のブログに続いて、はり・きゅう・マッサージ師の経験の積み方に関する話です。

2回目は「勉強会・講習会」で経験を積む話です。

学校で習ったことだけではなかなか患者さんの疾患や症状を改善することは難しいので、自分で勉強して知識を学びながら経験を積む必要があります。

 

 

はり・きゅう・マッサージ師の業界では、数え切れないほどの「勉強会・講習会」が開催されていて、検索するとたくさん出てきます。

就職してからでもよいのですが、できればはり・きゅう・マッサージ学校の学生の内に(※)いくつかの勉強会を経験して、先生の考え方に共感できるもの、自分の考え方に合うものを見つけるのがよいと思います。

※ 学生の場合、割引価格で勉強会・講習会を受講できるケースが多いからおすすめです。

勉強会・講習会もたくさんあって選ぶのは難しいですが、私の経験を踏まえていくつか選ぶポイントを書いてみます。

 

 

◆お試し参加や体験ができるもの

「3回連続コースで10万円」といった高い料金の場合、それが自分に合うか分からないのにお金を出すのはもったいないです。料金が高い場合にはまずはお試し参加や体験ができるものがよいと思います。

◆座学だけでなく、実技があるもの

座学ももちろん大事ですが、やはり実技もやらないと身に付きません。

◆できれば少人数のもの

人数が多いと、自分が教えてもらえる時間や経験する時間が少ないです。私が以前参加した勉強会では、先生が何かをした後に他の講習生が脈を診るのですが、10人以上が繰り返し脈を診ていて、待っている時間がもったいないですし、10人もやっていればその間に脈も変わってしまうと思いました。

◆自分が施術を受けて気に入ったもの、効果的だったもの

私は気に入った先生のところに何回か通って、

「先生は勉強会はやっていませんか?」
「もしよかったら、お時間があるときに教えて頂くことはできませんか?」

と確認して、マンツーマンで教えて頂きました。


色々な勉強会・講習会に参加することで、自分に合うものや自分がやりたいものが見つかれば、それを繰り返し練習、実践しながら経験を積むことができます。

2回に分けて、はり・きゅう・マッサージ師の経験の積み方を書いてみました。

これからはり・きゅう・マッサージを勉強しようとしている方や、はり・きゅう・マッサージに興味がある方の参考になれば幸いです。

 

はり・きゅう・マッサージ師の経験の積み方①

今回は、はり・きゅう・マッサージ師の経験の積み方の話です。

医師や看護師、理学療法士、作業療法士などの医療関連職種の場合、国家資格を取得後に就職した病院で一定期間の研修というものがあり、そこで訓練をしながら臨床に必要な基礎知識を学んで経験を積んでいきます。

 

 

ところが、はり・きゅう・マッサージ師の場合、この研修という決まりがありません。

極端な話、国家資格取得後すぐに開業することも可能です。

とはいえ、すぐに開業するのは知識、技術、経験を考えるとなかなか難しいものです。

そこで、2回に分けて、はり・きゅう・マッサージ師の経験の積み方を考えてみます。

1回目は「就職先」で経験を積む話です。

もっとも多いのが、どこかに就職してそこで経験を積むというものだと思います。

はり・きゅう・マッサージ師の就職先としては、鍼灸院、鍼灸マッサージ院、鍼灸接骨院、訪問マッサージ、病院、介護施設、トレーナーなどがあります。

ただ、一つの就職先では、特定の症状の患者さんや一定の年齢層の患者さんしか経験できない可能性もあります。

 

 

そこでおすすめなのが副業です。

例えば、

・週3回は鍼灸院で働き、週2回は病院の整形外科で働く

・午前中は鍼灸マッサージ院で働き、午後は介護施設で働く

・月、火は訪問マッサージで働き、水、木、金は鍼灸接骨院で働く

といったような感じです。

そうすることで、一つの就職先だけに比べて、幅広い年齢層の患者さんや症状を経験することができると思います。

 

 

私自身、最初に勤務した鍼灸マッサージ院は、30代~60代の患者さんが多く、介護が必要な高齢者や子供を見る機会はほとんどありませんでした。

そのため、途中からは整形外科内科クリニックに転職して幅広い年齢層の患者さんを経験する道を選ぶとともに、非常勤職員として介護施設で働き、高齢者の施術の経験も積みました。

最初は余裕がなければ一つの就職先で働いてみて、余裕ができたら転職や副業をするというのもよいかもしれません。

現在は働き方も多様な時代で、「1つの職場で働き続けなければならない」、「副業をしてはいけない」といったことはなく、様々な働き方、経験の積み方を考えていく必要があると思います。

次回は「勉強会・講習会」で経験を積む話をいたします。

 

施術だけしたければ開業しない方がよい

今回は、はり・きゅう・マッサージの施術と開業の話です。

開業する理由として、たまに聞くのが

「施術をたくさんしたいから」

というものがあります。

 

 

ですが、本当に施術をたくさんしたいなら開業はしない方がよいのです。

なぜなら、開業すると施術以外の仕事も全部やらないといけないからです。
(もちろん人を雇えば話は別ですが、今回は個人事業であることを前提としての話です)

施術以外の仕事として、以下のようなものがあります。


・営業(広告、パンフレット、ホームページ、SNS、ブログなど)

・備品の準備(ベッド、鍼灸用具、カルテ、タオル、空気清浄機、扇風機、電話、院内音楽、パソコン、プリンタなど)

・在庫管理(鍼灸用具、消毒液、ペーパータオル、使い捨てシーツ、手袋など)

・電話対応、お会計(つり銭の準備も含む)

・関連業者との手続き(物件更新、ホームページメンテナンス、キャッシュレス、ネット予約システムなど)

・売上や経費の管理、資金繰り(会計ソフト導入、銀行回りなど)

・保険をやる場合は書類準備・作成、施術管理者研修受講

・各種制度の把握(インボイス、電子帳簿保存法など)

・掃除、洗濯

 

とりあえず思いついたものをあげましたが、他にもまだあるかもしれません。

施術以外の色々な仕事をしても、それで直接お金が頂けるわけではありませんし、逆に設備投資でお金がかかることもあります。

それでもやらなければならない仕事がたくさんあるのです。

ちなみに、私が開業前に勤務していた整形外科内科クリニックでは

・鍼灸関連の備品準備、在庫管理
(クリニックで鍼灸をやるのが私だけだったので、これはやる必要がありました)

・掃除、洗濯
(毎日の掃除、洗濯はどの職場でも必要な仕事です)

を除けば、これ以外の上記の仕事はやる必要がありませんでした。

そのため、1日の業務時間の内、施術を行う時間が多く、1日15人~30人くらいは施術をしていました。

以上の理由から、施術をたくさんしたいなら、開業を考えるのではなく、どこかに勤務する方がよいと思います。

 

 

もし、

「施術をたくさんしたい」

ではなくて、

「自分の思う通りの施術を、自分が考えた時間や料金でやりたい」

ということであれば開業した方がいいかもしれませんが、患者さんに来て頂くための営業活動や、帳簿管理などの事務作業、施術するための環境整備なども自分でやらないといけません。

私は前職がシステムエンジニアだったのでホームページやパンフレット作製、帳簿管理などは得意分野でした。

また、開業前に出張専門の施術をやっておくことで開業を見据えた準備をしてきました。

はり・きゅう・マッサージで開業しようと考えている方は、

・施術以外にも色々とやらなければならないことがある

・開業する場合は施術だけではなく、営業や事務作業もある程度できないといけない

ことを念頭に置いて、開業するかどうかを決めていただくのがよいと思います。

 

あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師の推移(2012年-2021年)

毎年2月の最終週の土日に、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師の国家試験が実施されます。

今回は、過去10年間(2012年~2021年)のあん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師に関して、

①国家試験の受験者数の推移

②就業者数の推移

③施術所の推移

を見ていきたいと思います。

 

①国家試験の受験者数の推移

引用サイト:公益財団法人東洋療法研修試験財団 過去の受験者数
https://www.ahaki.or.jp/examination/examinees.html

 

・直近10年の受験者数を見ると、24年度(2012年)と3年度(2021年)で約3000人、25%程度減少している

・合格率は概ね75%くらいだが、受験者数が減少していることに伴い、合格者数も減少している

 

②就業者数の推移

引用サイト:厚生労働省 令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/20/

 

・あん摩マッサージ指圧師は、10年前と比べると約14000人くらい増加していて、直近2年はわずかに減少している

・はり師・きゅう師は10年前と比べると約34000人くらい増加していて、直近2年も約5000人増加している

 

③施術所の推移

引用サイト:厚生労働省 令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/20/

 

・あん摩マッサージ指圧を行う施術所は、10年前と比べると約1600件くらい減少していて、直近2年で約1000件減少している

・はり・きゅうを行う施術所は、10年前と比べると約12000件くらい増加していて、直近2年で約1600件増加している

・あん摩マッサージ指圧+はり・きゅうを行う施術所は10年前と比べると約2000件くらい増加していて、直近2年はわずかに増加している

 

 

これらの結果から、以下のことが言えます。

・受験者数および合格者数は減少傾向にあるが、就業者数は増加している(特にはり師・きゅう師)

→あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師の国家資格を取得しても、その仕事に就業しているとは限りません。私の妻も、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師の資格を持っていますが、現在は看護師として働いています。


・あん摩マッサージ指圧を行う施術所は減少しているが、はり・きゅうを行う施術所は増加している

→はり・きゅうに関しては、治療、予防、美容、メンテナンスなど、様々な需要があるのかもしれません。

 

 

また、施術所が増えているということは、独立・開業している人数が増えているということだと思います。

さらに、無資格の整体・リラクゼーションのお店もたくさんあります。(無資格の整体・リラクゼーションは、保健所に登録されていないため正確な店舗数が分かりません)

今後、ますます高齢化・人口減少が進んでいくため、施術所が増えるということは、競争も激しくなりそうです。

このようなデータを見ることで、業界全体の状況を把握するとともに、今度どうしていくかを考えるきっかけになりますので、何年かおきにデータを見ていこうと思いました。