勝負師の負け方

日本講演新聞(宮崎中央新聞社)の記事からのご紹介です。

宮崎中央新聞社のサイト
https://miya-chu.jp/

本新聞に紹介されていた、日本初の女性競馬新聞記者で、作家として60冊以上の著書がある吉永みち子さんの「勝負師の負け方」という話が印象に残りました。

吉永さんは、

「毎日勝ち負けの勝負をして、勝つことのみで賞金を得て生活をする人は、負けが続く時期をどう乗り越えているのか」

を疑問に思い、それを最年長将棋棋士名人の米長邦雄さんに聞いてみたそうです。

 

 

米長さんは

「勝つことだけを幸せと思うと、勝負師の人生は圧倒的に不利になる」

と言われ、「では勝つこと以外でいつ幸せを感じるのか?」と吉永さんが聞いたところ、

「負けた盤が微笑む時です」

と答えたそうです。

将棋の手順を盤面上で振り返ることで、負けた将棋でもここを直せばもっと強くなることに気付くことを「盤が微笑む」と表現されたのです。

自分のダメな部分や間違えた部分からは目を背けたくなるところですが、そこで逃げずに負けた原因と向き合い、自分の成長に活かせることに幸せを感じるのが勝負師の負け方だというのです。

 

 

「勝ち負けに一喜一憂するのではなく、その勝負から何を学んだのか」が大切であるという話で、これは勝負師に限らずどの仕事でもいえることだと思いました。

当然ですが、私のはり・きゅう・マッサージの仕事もよい結果が出るばかりではありません。

うまくいかなかった時、

・何が悪かったのだろう

・もっとこうすればよかったかも

・次はこれを試してみよう

とうまくいかない失敗から学ぶこともたくさんあります。

というか、失敗からでないと学べないと思います。

うまくいかなかった時、くよくよしたり、落ち込んだりしてしまいますが、それでも次に繋がるような何かを学び続けたいと思いました。

 

 

「学び」と「ときめき」がある高齢社会へ

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本新聞の水谷編集長の社説の『 「学び」と「ときめき」がある高齢社会へ 』という記事で紹介されていたデイサービス(※)の話が印象に残りました。

※デイサービスは、施設に入所せず、昼間に日帰りで利用できる通所介護サービスのこと。主に高齢者などの要介護者や障害者、児童に対するサービスを提供する。

引用元:ウィキペディア(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9

 

 

そのデイサービスは、

「介護しない介護をめざすおとなの学校」

という名前で、通所型の介護施設なのですが、車の送迎とおやつの時間があること以外は子どもの学校と同じで、毎朝登校して授業を受け、夕方下校するというものものだそうです。

参考:介護しない介護をめざす – おとなの学校
https://otona-gakkou.com/

 

 

授業はオリジナルの教科書が提供されていて、先生となる職員が一人で進めることができるため、施設にとっては人員不足の解消につながります。

一方、利用する高齢者にとっては、オリジナルの教科書で懐かしい話題が提供され、認知症の緩和につながる回想法というやり方を取り入れて、おしゃべりしながら頭を働かせる仕掛けになっています。

おとなの学校の代表で老年期医療が専門の医師でもある大浦敬子さんは、脳は元気なのに長期入院を余儀なくされ、ただ生かされているだけの患者さんに胸を痛めた経験がきっかけで、おとなの学校の開校したそうです。

 

 

おとなの学校のスローガンは「生涯青春!」です。

以下、おとなの学校のホームページからの抜粋です。


青春とは心が躍り、目に見えるものがキラキラ輝いていること。
辛い思いに涙しても心の汗だと思える、前向きな心持ちのこと。
人生の最期の瞬間まで、そんな青春の中で生き抜けられたら幸せです。


おとなの学校○○校という施設や、おとなの学校の教科書を使っている施設は、全国で約600もあるそうです。

今後、ますます高齢化が進む日本社会において、デイサービスの利用者も増えていくと思います。

せっかくデイサービスを利用するのなら、過去のことを振り返りながらおしゃべりしたり、新しいことを学んだり、楽しみながら過ごすことを目的としたおとなの学校の取り組みはとてもおもしろいと思いました。

 

 

幸せの研究によって分かったこと

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本新聞に紹介されていた、株式会社日立製作所フェロー、株式会社ハビネスプラネットの代表取締役CEO 矢野和男さんの「幸せの研究によって分かったこと」の話が印象に残りました。

 

 

矢野さんは幸せに関する研究をしているそうで、この記事の中で元アメリカ経営学会会長のフレッド・ルーサンス博士が発表した、私たちがスキルとして身に付けたり高めていける4つの幸せ力が紹介されていました。

①ホープ(希望)      : 道は見つかると信じる力
②エフィカシー(有効性): 踏み出す力
③レジリエンス(回復力): 立ち向かう力
④オプティミズム(楽観): 楽しむ力

これらはそれぞれの英単語の頭文字をとって「HERO(ヒーロー)」と呼ばれているそうです。

この4つの「HERO」の力が高い人ほど幸せ力が高くて、この力は訓練で高めることができるとルーサンス博士はおっしゃっています。

 

 

また、自分の選択と捉え方次第で、生体反応が変わるという実験の話が紹介されていました。

ある被験者たちをAとBの二つのグループにランダムに分けます。

グループAには「ストレスというのはしんどくて体にも悪い。寿命にも悪影響がある」という動画を見せます。

一方、グループBには「しんどい状況を乗り越えることで我々の能力は高まっていく。ストレスは我々が生き延びていく能力の発達につながる恵みである」という動画を見せます。

そして、両者に同じストレスフルな体験をさせると以下の結果になったそうです。

グループAの人たちはストレスホルモンのコルチゾールが分泌され、心拍数が増加し、血管が収縮して血流が悪くなりました。

これは人間が不安や恐れを感じた時の生体反応です。

一方、グループBの人たちは、血管が拡張し血流が良くなりました。

これは気合とやる気がみなぎった時の生体反応です。

異なる種類の動画を見せただけの違いで、被験者たちが目の前の出来事をどう捉えるかが変わり、その捉え方によって感情や血管の動き、分泌されるホルモンが変わったという実験結果でした。

 

 

何か困難なことがあった時、「しんどいな、つらいな」と捉えるか、「よし、やってみよう、成長するチャンスだ」と捉えるか。

状況によっていつも前向きに考えられるわけではないと思いますが、「HERO」の考え方を意識することで、少しでも幸せ力を高めていけたらいいなと思いました。

 

丁稚奉公による技術者育成

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本新聞に紹介されていた、有限会社秋山木工の代表取締役 秋山利輝さんの「貧困と9年間のオール1からの逆転人生」の話が印象に残りました。

秋山さんは貧困家庭に育ち、成績もオール1でしたが、大工さんの仕事を毎日見学していました。

 

 

その内、大工のおじさんが「やりたいか?」と言って、のみと金槌を使わせてくれて、そこから家の壊れた壁や扉を修理したり、近所の方からも修繕を頼まれるようになったそうです。

その際、近所のおばさんから

「手に職を付けておけば、どんな時代が来ても食うに困らないよ」

と言われたことが、木工職人となるきっかけになりました。

その後、住み込みの丁稚として修業しながら、さらに別の場所で腕を磨きたいと何度か転職し、27歳の時に仲間3人と秋山木工を創業しました。

秋山木工のサイト
https://www.akiyamamokkou.co.jp/

 

 

創業した秋山さんは、

「手に職を付け、職人として一人前になれたのはその過程でたくさんの人たちと出会い、その人たちがお世話をしてくれて色んなことを教えてくれたからだ」

と考え、その恩返しをするため、自分を超える職人を10人つくるという目標を立てます。

人に優しく、人を感動させる技術を持ち、みんなから愛される本物の職人を養成するため、丁稚制度を復活させました。

今の時代、丁稚制度は珍しいと思いますが、それを30年以上続けているそうです。

 

 

まず、全員丸坊主にして寮に住み込み、携帯電話や恋愛、親との面会も禁止(手紙はOK)で、基本的な訓練や段取り、職人としての心得を学びます。

土日は、若い職人が技術を競う技能五輪全国大会に向けての練習や、自分の好きなものを作って過ごし、休みはお盆と正月だけです。

お盆と正月に実家に帰省する前には、どんな親孝行をするかを事前に計画し、帰省してら親孝行をします。

丁稚時代は技術だけでなく、人柄も磨くためにこのような修業をしているそうです。

 

 

5年の修業期間を終えて試験に合格すると職人として認められ、その後3年間は家具製作でさらに技術を磨きますが、会社にいられるのは8年間だけです。

その後は、独立するか、転職するか、海外に行くかなど、本人が進路を決めることになります。

8年間で一人前になったらやめてもらうというシステムになっており、一番伸びる時期に色々な職場を体験し、多くの人と出会いながらさらに技術や経験を積んでほしいという秋山さんの想いが込められています。

また、会社の毎日の朝礼では「職人心得30箇条」という現場に出られる一人前の人間について唱和しているそうです。

今の時代、ここまで徹底して技術者育成をしているところは少ないと思いますが、人の心を動かせる本物の職人を養成しようと思ったら、若いときの一定期間、一心不乱に修業に励むということも必要なんだと思いました。

 

 

以下、職人心得30箇条を抜粋します。
(一流を育てる 秋山木工の「職人心得」から引用)

・職人心得1
挨拶のできた人から現場に行かせてもらえます。
→気持ちのよい挨拶は、人を笑顔にします。積極的に挨拶をすることで、周りを活気づけることができます。

・職人心得2
連絡・報告・相談のできる人から現場に行かせてもらえます。
→情報を共有することで、周りも自分もスムーズに作業が進みます。また、周りの人に安心していただけます。

・職人心得3
明るい人から現場に行かせてもらえます。
→いつも明るくしていると、自然に周りも明るくなります。
また、人が集まりお仕事がいただけます。

・職人心得4
周りをイライラさせない人から現場に行かせてもらえます。
→その場の空気を感じ取り、相手の目線で考え、素直に行動に移すことで、自分の人間性も高まります。

・職人心得5
人の言うことを正確に聞ける人から現場に行かせてもらえます。
→指示された内容を正確に理解し、素直に行動に移すことで、自分の人間性も高まります。

・職人心得6
愛想よくできる人から現場に行かせてもらえます。
→いつも愛想よくしていると、周りの方々に気持ちよくお仕事をしていただけます。

・職人心得7
責任を持てる人から現場に行かせてもらえます。
→責任を持って仕事をすると、緊張感が生まれ、集中して取り組むことができ、そして自分の技術力も上がります。

・職人心得8
返事をきっちりできる人から現場に行かせてもらえます。
→わかっているのかいないのか、はっきりと意志表示をすることで、仕事のミスをなくします。

・職人心得9
思いやりのある人から現場に行かせてもらえます。
→常に相手のことを自分のことのように考え、行動することが大切です。

・職人心得10
おせっかいな人から現場に行かせてもらえます。
→相手のためを思うなら、嫌がられても、言うべきことを言ってあげることも大事です。

・職人心得11
しつこい人から現場に行かせてもらえます。
→限界を決めず、技術も人間性もとことん追求していくことが大切です。

・職人心得12
時間を気にできる人から現場に行かせてもらえます。
→時間は止まってくれません。今できることを考え、一瞬一瞬を無駄にしないことが大切です。

・職人心得13
道具の整備がいつもされているひとかた現場に行かせてもらえます。
→道具の整備をしていることで、すぐに仕事に取りかかることができます。また、道具は一生自分を助けてくれる相棒です。整備することで、感謝の気持ちを表します。

・職人心得14
掃除、片付けの上手な人から現場に行かせてもらえます。
→掃除、片付けは仕事の仕上げであり、次の仕事の段取りにつながるので大切です。

・職人心得15
今の自分の立場が明確な人から現場に行かせてもらえます。
→今の自分の立場をわきまえ、何をすべきかを考えて、素早く行動することが大切です。

・職人心得16
前向きに事を考えられる人から現場に行かせてもらえます。
→これからどうなりたいのか考え、どんなことでも前向きに取り組むことで、必ず成長できます。

・職人心得17
感謝のできる人から現場に行かせてもらえます。
→周りの方に支えていただいていることに感謝し、行動することが大切です。

・職人心得18
身だしなみのできている人から現場に行かせてもらえます。
→身だしなみの乱れは心の乱れです。社会人のマナーとして、また、安全に作業するために大切です。

・職人心得19
お手伝いのできる人から現場に行かせてもらえます。
→周りの人が何を望んでいるのかを考え、行動することが大切です。

・職人心得20
道具を上手に使える人から現場に行かせてもらえます。
→道具を手足のように使えることで、感動していただけるものを作ることができます。

・職人心得21
自己紹介のできる人から現場に行かせてもらえます。
→自己を見つめ直し、自分のよいところを相手にしっていただき、日本人としての夢を語れることが大切です。

・職人心得22
自慢のできる人から現場に行かせてもらえます。
→お客さまのために、どのようなものをどんな工夫をしてつくったのか、説明できることが大切です。

・職人心得23
意見が言える人から現場に行かせてもらえます。
→さまざまな考えを共有し、より良いものを作ろうとすることが大切です。

・職人心得24
お手紙をこまめに出せる人から現場に行かせてもらえます。
→感謝の心を自分の字で表すことで、より一層想いが伝わります。

・職人心得25
トイレ掃除ができる人から現場に行かせてもらえます。
→一番汚れる場所を磨くことで、自分の心も磨かれます。

・職人心得26
電話を上手にかけられる人から現場に行かせてもらえます。
→相手の顔が見えない分、簡潔にわかりやすく伝えることが大切です。

・職人心得27
食べるのが早い人から現場に行かせてもらえます。
→食べることにも段取りが必要です。農家の方や、食事を作ってくださった方に感謝をし、無駄なくおいしくいただくクセをつけることが、仕事にもつながります。

・職人心得28
お金を大事に使える人から現場に行かせてもらえます。
→お金の生まれる過程を正確に理解し、感謝して使うことが大切です。

・職人心得29
そろばんのできろ人から現場に行かせてもらえます。
→計算を速くすることで、時間と材料を効率的に使うことができ、お客さまに喜んでいただけるものが作れます。

・職人心得30
レポートがわかりやすい人から現場にいかせてもらえます。
→その日学んだことをわかりやすく書こうとすることで、もう一度身につき、日々を2倍速で学ぶことができます。

 


一流を育てる 秋山木工の「職人心得」

電子書籍と紙の本は全く別物

日本講演新聞の記事からのご紹介です。

※ 2020年から、新聞の名前が「宮崎中央新聞」から「日本講演新聞」に変わりました。

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本新聞に紹介されていた「五感を使って読みたい本、ありますか?」の話が印象に残りました。

京都にミシマ社という出版社を起業した三島邦弘さんが、電子書籍と紙の本は全く別物という話をしていました。

 

 

電子書籍は、とにかく情報として中身を脳にインプットするために読む本。

紙の本は、表紙のデザイン、文字の書体や大きさ、1ページの行数などを考えて作られている。


また、本には紙の匂いがあり、ページをめくる指先の感触や音がある。
これら全部セットになっているから、五感全部を使って読む読み物。

 

 

つまり、即時性を求めるなら電子書籍で、五感を味わうなら紙の本で、ということです。

私は、電子書籍より紙の本の方が好きです。

本の重さやページをめくるドキドキ感、紙の手触りなどを感じることで、五感を使って脳に様々な刺激が入ります。

 

 

それら一連の行為を全て含めて読書というのだと思います。

とはいえ、ちょっとした文章を読むのなら電子書籍もありだと思いますので、うまく使い分けたいです。