丁稚奉公による技術者育成

日本講演新聞(宮崎中央新聞社)の記事からのご紹介です。

宮崎中央新聞社のサイト
https://miya-chu.jp/

本新聞に紹介されていた、有限会社秋山木工の代表取締役 秋山利輝さんの「貧困と9年間のオール1からの逆転人生」の話が印象に残りました。

秋山さんは貧困家庭に育ち、成績もオール1でしたが、大工さんの仕事を毎日見学していました。

 

 

その内、大工のおじさんが「やりたいか?」と言って、のみと金槌を使わせてくれて、そこから家の壊れた壁や扉を修理したり、近所の方からも修繕を頼まれるようになったそうです。

その際、近所のおばさんから

「手に職を付けておけば、どんな時代が来ても食うに困らないよ」

と言われたことが、木工職人となるきっかけになりました。

その後、住み込みの丁稚として修業しながら、さらに別の場所で腕を磨きたいと何度か転職し、27歳の時に仲間3人と秋山木工を創業しました。

秋山木工のサイト
https://www.akiyamamokkou.co.jp/

 

 

創業した秋山さんは、

「手に職を付け、職人として一人前になれたのはその過程でたくさんの人たちと出会い、その人たちがお世話をしてくれて色んなことを教えてくれたからだ」

と考え、その恩返しをするため、自分を超える職人を10人つくるという目標を立てます。

人に優しく、人を感動させる技術を持ち、みんなから愛される本物の職人を養成するため、丁稚制度を復活させました。

今の時代、丁稚制度は珍しいと思いますが、それを30年以上続けているそうです。

 

 

まず、全員丸坊主にして寮に住み込み、携帯電話や恋愛、親との面会も禁止(手紙はOK)で、基本的な訓練や段取り、職人としての心得を学びます。

土日は、若い職人が技術を競う技能五輪全国大会に向けての練習や、自分の好きなものを作って過ごし、休みはお盆と正月だけです。

お盆と正月に実家に帰省する前には、どんな親孝行をするかを事前に計画し、帰省してら親孝行をします。

丁稚時代は技術だけでなく、人柄も磨くためにこのような修業をしているそうです。

 

 

5年の修業期間を終えて試験に合格すると職人として認められ、その後3年間は家具製作でさらに技術を磨きますが、会社にいられるのは8年間だけです。

その後は、独立するか、転職するか、海外に行くかなど、本人が進路を決めることになります。

8年間で一人前になったらやめてもらうというシステムになっており、一番伸びる時期に色々な職場を体験し、多くの人と出会いながらさらに技術や経験を積んでほしいという秋山さんの想いが込められています。

また、会社の毎日の朝礼では「職人心得30箇条」という現場に出られる一人前の人間について唱和しているそうです。

今の時代、ここまで徹底して技術者育成をしているところは少ないと思いますが、人の心を動かせる本物の職人を養成しようと思ったら、若いときの一定期間、一心不乱に修業に励むということも必要なんだと思いました。

 

 

以下、職人心得30箇条を抜粋します。
(一流を育てる 秋山木工の「職人心得」から引用)

・職人心得1
挨拶のできた人から現場に行かせてもらえます。
→気持ちのよい挨拶は、人を笑顔にします。積極的に挨拶をすることで、周りを活気づけることができます。

・職人心得2
連絡・報告・相談のできる人から現場に行かせてもらえます。
→情報を共有することで、周りも自分もスムーズに作業が進みます。また、周りの人に安心していただけます。

・職人心得3
明るい人から現場に行かせてもらえます。
→いつも明るくしていると、自然に周りも明るくなります。
また、人が集まりお仕事がいただけます。

・職人心得4
周りをイライラさせない人から現場に行かせてもらえます。
→その場の空気を感じ取り、相手の目線で考え、素直に行動に移すことで、自分の人間性も高まります。

・職人心得5
人の言うことを正確に聞ける人から現場に行かせてもらえます。
→指示された内容を正確に理解し、素直に行動に移すことで、自分の人間性も高まります。

・職人心得6
愛想よくできる人から現場に行かせてもらえます。
→いつも愛想よくしていると、周りの方々に気持ちよくお仕事をしていただけます。

・職人心得7
責任を持てる人から現場に行かせてもらえます。
→責任を持って仕事をすると、緊張感が生まれ、集中して取り組むことができ、そして自分の技術力も上がります。

・職人心得8
返事をきっちりできる人から現場に行かせてもらえます。
→わかっているのかいないのか、はっきりと意志表示をすることで、仕事のミスをなくします。

・職人心得9
思いやりのある人から現場に行かせてもらえます。
→常に相手のことを自分のことのように考え、行動することが大切です。

・職人心得10
おせっかいな人から現場に行かせてもらえます。
→相手のためを思うなら、嫌がられても、言うべきことを言ってあげることも大事です。

・職人心得11
しつこい人から現場に行かせてもらえます。
→限界を決めず、技術も人間性もとことん追求していくことが大切です。

・職人心得12
時間を気にできる人から現場に行かせてもらえます。
→時間は止まってくれません。今できることを考え、一瞬一瞬を無駄にしないことが大切です。

・職人心得13
道具の整備がいつもされているひとかた現場に行かせてもらえます。
→道具の整備をしていることで、すぐに仕事に取りかかることができます。また、道具は一生自分を助けてくれる相棒です。整備することで、感謝の気持ちを表します。

・職人心得14
掃除、片付けの上手な人から現場に行かせてもらえます。
→掃除、片付けは仕事の仕上げであり、次の仕事の段取りにつながるので大切です。

・職人心得15
今の自分の立場が明確な人から現場に行かせてもらえます。
→今の自分の立場をわきまえ、何をすべきかを考えて、素早く行動することが大切です。

・職人心得16
前向きに事を考えられる人から現場に行かせてもらえます。
→これからどうなりたいのか考え、どんなことでも前向きに取り組むことで、必ず成長できます。

・職人心得17
感謝のできる人から現場に行かせてもらえます。
→周りの方に支えていただいていることに感謝し、行動することが大切です。

・職人心得18
身だしなみのできている人から現場に行かせてもらえます。
→身だしなみの乱れは心の乱れです。社会人のマナーとして、また、安全に作業するために大切です。

・職人心得19
お手伝いのできる人から現場に行かせてもらえます。
→周りの人が何を望んでいるのかを考え、行動することが大切です。

・職人心得20
道具を上手に使える人から現場に行かせてもらえます。
→道具を手足のように使えることで、感動していただけるものを作ることができます。

・職人心得21
自己紹介のできる人から現場に行かせてもらえます。
→自己を見つめ直し、自分のよいところを相手にしっていただき、日本人としての夢を語れることが大切です。

・職人心得22
自慢のできる人から現場に行かせてもらえます。
→お客さまのために、どのようなものをどんな工夫をしてつくったのか、説明できることが大切です。

・職人心得23
意見が言える人から現場に行かせてもらえます。
→さまざまな考えを共有し、より良いものを作ろうとすることが大切です。

・職人心得24
お手紙をこまめに出せる人から現場に行かせてもらえます。
→感謝の心を自分の字で表すことで、より一層想いが伝わります。

・職人心得25
トイレ掃除ができる人から現場に行かせてもらえます。
→一番汚れる場所を磨くことで、自分の心も磨かれます。

・職人心得26
電話を上手にかけられる人から現場に行かせてもらえます。
→相手の顔が見えない分、簡潔にわかりやすく伝えることが大切です。

・職人心得27
食べるのが早い人から現場に行かせてもらえます。
→食べることにも段取りが必要です。農家の方や、食事を作ってくださった方に感謝をし、無駄なくおいしくいただくクセをつけることが、仕事にもつながります。

・職人心得28
お金を大事に使える人から現場に行かせてもらえます。
→お金の生まれる過程を正確に理解し、感謝して使うことが大切です。

・職人心得29
そろばんのできろ人から現場に行かせてもらえます。
→計算を速くすることで、時間と材料を効率的に使うことができ、お客さまに喜んでいただけるものが作れます。

・職人心得30
レポートがわかりやすい人から現場にいかせてもらえます。
→その日学んだことをわかりやすく書こうとすることで、もう一度身につき、日々を2倍速で学ぶことができます。

 

電子書籍と紙の本は全く別物

日本講演新聞の記事からのご紹介です。

※ 2020年から、新聞の名前が「宮崎中央新聞」から「日本講演新聞」に変わりました。

宮崎中央新聞社のサイト
https://miya-chu.jp/

本新聞に紹介されていた「五感を使って読みたい本、ありますか?」の話が印象に残りました。

京都にミシマ社という出版社を起業した三島邦弘さんが、電子書籍と紙の本は全く別物という話をしていました。

 

 

電子書籍は、とにかく情報として中身を脳にインプットするために読む本。

紙の本は、表紙のデザイン、文字の書体や大きさ、1ページの行数などを考えて作られている。


また、本には紙の匂いがあり、ページをめくる指先の感触や音がある。
これら全部セットになっているから、五感全部を使って読む読み物。

 

 

つまり、即時性を求めるなら電子書籍で、五感を味わうなら紙の本で、ということです。

私は、電子書籍より紙の本の方が好きです。

本の重さやページをめくるドキドキ感、紙の手触りなどを感じることで、五感を使って脳に様々な刺激が入ります。

 

 

それら一連の行為を全て含めて読書というのだと思います。

とはいえ、ちょっとした文章を読むのなら電子書籍もありだと思いますので、うまく使い分けたいです。

 

目標は数字ではなくあり方

日本講演新聞(宮崎中央新聞社)の記事からのご紹介です。

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本新聞に紹介されていた、理念と仕組み研究所代表の加藤八十司さんの「目標は数字ではなくあり方」の話が印象に残りました。

 

 

アメリカのある大学が何人かの人に、「6ヶ月後」、「2年後」、「12年後」の目標を決めてもらい、二つのタイプに分ける調査をした話が紹介されていました。

一つは物質的目標をあげた人たち。
(2年後までに売り上げ○○にするなど)

もう一つは「あり方」を目標にあげた人たち。
(地域の人に笑顔になってもらいたいなど)

 

 

その結果、どうなったか。

物質的目標をあげた人たちは、目標を達成した・していないに関わらず、時間が経つにつれて幸福感が次第に下がる傾向が見られました。

一方、「あり方」を目標にあげた人たちは、目標を達成した・していないに関わらず、時間が経つにつれて前向きになり、人生における幸福感、充実感が次第に高まる傾向があったそうです。

 

 

このことから何が言えるのか。

自分が何に貢献して、何のためにやっているのかということが、幸福感と関係すると加藤さんはおっしゃっています。

 

この話の中で、長野県にある伊那食品工業の塚越顧問の名言が紹介されていました。

「利益は健康な体から出るウンチである」

 

 

みんなウンチをしようと思って食べているわけではなく、健康な体であればウンチは自然と出てきます。

つまり、他者や社会に貢献して幸せを先に渡すことで、その結果として自然と利益というものが出てくるという話です。

 

何か目標を立てようと思うと、ついつい目先の数字が気になってしまいます。

 

 

でも、「どうありたいのか」を目標にして、それが達成できるよう地道に励んでいれば、その結果として成果はついてくるのだと思います。

このことを忘れずに、「あり方」を目標にして、精進していきたいです。

 

 

三河のエジソン

日本講演新聞の記事からのご紹介です。

※ 2020年から、新聞の名前が「宮崎中央新聞」から「日本講演新聞」に変わりました。

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本新聞で小説家の森沢明夫さんが紹介していた

「指を失ったからありがとうと言われる人生になれた」

という、愛知県に住んでいて三河のエジソンと呼ばれている加藤源重さんの話が印象に残りました。

1991年3月、機械工として働いていた加藤さんは、機械の修理中の事故で、利き手である右手の5指を失ってしまいました。

そんな中でも、

「わしの右手は、使い勝手が悪くなってしまった。なんとか使いやすくしたいものだ。
故障した機械だって、使いにくい機械だって、工夫したり、直したりして、使いやすくしてきたじゃないか。できる。きっとできる。」

と自分を励ましました。

まず始めに作ったのは、右手の働きを助ける器具です。

使い慣れたハンマーもペンチもドライバーもスパナもうまく使えず、一度は挫折しそうになります。

しかし、そんな時には、頑張っている左手に「焦らなくてもいい、失敗したっていい、そのうちうまくできるさ」と働きかけながら楽しそうに作業を続けました。

作業を続けて6ヵ月後、ついに「万能フォルダー」という右手の働きを助ける器具が完成しました。

その後、同じように手が不自由な人に頼まれて、片手用で力がいらない、洗濯ばさみを開発することになりました。

「わしも怪我をする前は、体が不自由な人のことなど、気が付かなかったもの。でも、この手になって、今まで気が付かなかったことに気が付くんだ」

と、自分自身が不自由だからこそ気が付く着眼点があるのだと言っています。

この仕事をきっかけに、

「もし不自由を自由に変えられるなら、わしがいっぱい考えて、工夫することで、嬉しくなる人ができるなら頑張らないといけない」

と決心し、発明家への一歩を踏み出します。

その後も、

・持ちにくいものをしっかり固定できる「万能固定器」

・手の弱い人が使う「くるくるフォーク」

・洋服を着られない人のための「らくらくきられーる」

・足腰が不自由でも外出時のトイレに困らない「折りたたみ式便座イス」

・手や目が不自由な人のための「らくらくシャンプー」

など、不自由で困っている人のために開発した様々な作品が注目され、作った作品が発明大会のグランプリを受賞し、新聞やテレビでもたちまち放映されるようになり、ひっきりなしに依頼が舞い込むようになります。

それらは、全て依頼してきた「その人」のために作るもの。

「障害は一人ひとり違う、だから自助具もその人に合ったものでなければ意味がない」

という考えで一つひとつ実績を積み重ねて、いつしか「三河のエジソン」と呼ばれるようになったそうです。

本新聞の記事で、森沢さんがした

「もし右手が健在だったら、もっといろんな発明品が作れたんじゃないかと考えることもあるのではないですか?」

という質問の答えがまた素敵でした。

『全くありません。今はこの指のない右手にこそ一番感謝しています。ここに指がないからこそ、自分は人から「ありがとう」と言われる人生になれたんです」

参考文献:
三河のエジソン―障害を克服する自助具の発明家 加藤源重

日本講演新聞_学びと試行錯誤

日本講演新聞の記事からのご紹介です。

※ 2020年から、新聞の名前が「宮崎中央新聞」から「日本講演新聞」に変わりました。

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本新聞に紹介されていた、栄光学園数学科講師でいもいも教室を主宰されている井本陽久さんの「あそびの中には学びがいっぱい」に出てくる試行錯誤の話が印象に残りました。

「学び」とは、「きっとこうやればうまくいくだろう」と予測して、それを実際にやってみて失敗しまた考え直す、という繰り返しで、この繰り返しのことを「試行錯誤」といいます。

この試行錯誤には、ポイントが二つあるそうです。

一つ目は「失敗すること」です。

人はうまくいっている時は自分の考え方を問い直すことはしないので、うまくいっていない時こそ人は考え自らを問い直すからです。

二つ目は「自分のやり方でやる」、「自分の考え方で考える」ということです。

「こうなるんじゃないか」と自分で予測して、それがうまくいかなかった時は、「自分の考え方・やり方のどこが悪いのか」と振り返ることができます。

これが誰かに教えられたやり方でやった場合、うまくいかないとすぐネットや教科書でやり方を探したり、人に聞いたりしてしまいます。

自分のやり方でやらないと試行錯誤がなかなか起こらないという話でした。

この話を読んで、いかに試行錯誤が大事かを改めて認識しました。

失敗しながら何が悪かったのか考えて、また試してみる。

この繰り返しが学びとなって成長していくのですが、つい安易に検索したり、人に聞いたりしている自分に気が付きました。

自分で考えて、苦労して、失敗して、また考えるということを繰り返さないと、なかなか成長に繋がっていかないのだと思いました。

しっかり試行錯誤しようと改めて考えさせられました。