どんな薬よりも効果のある治療法

どんな薬よりも効果のある治療法(主婦の友社)
岡田定

 

健康長寿の秘訣というと当たり前のことが書いてある書籍が多いのですが、本書はそれだけでなく本当に大切なことをポイントをおさえて丁寧に解説されていて読みやすかったです。

 

 

以下に印象に残った点を抜粋。

・医療を受けるのは、たいてい病気になってから。現代医療は病気を治すことには熱心だが、「どうすれば健康でいられるか」にはあまり熱心ではない。病院がなくなると、病気になるわけにはいかないと考え、自分の健康は自分で守るしかないので医療に頼る気持ちを捨てて、自分の生活習慣や環境をよくしようとするはず。

・健康とは、少々の身体の問題があっても健康感をもてること。朝の目覚めはよいか。食事はおいしいか。便通はいいか。人に思いやりをもてるか。夜は穏やかに眠れるか。仕事や学習に意欲はあるか。体に痛みや違和感はないか。これらがどれもYesならすばらしく健康である。

・長寿で幸福を達成するには、社会的に何らかの役割があり、社会とつながっていることが大切。定年後は競争社会で生きて生計を立てることを目的とするのではなく、周囲と共存して楽しみながら人の役に立つことをした方がよい。

 


どんな薬よりも効果のある治療法

プロフェッショナル_認知症ケア

先日、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」の話が素晴らしかったので紹介します。

テーマは「その人らしさを見つめて 認知症ケアのプロSP」。

認知症のお年寄りと向き合ってきたプロフェッショナルの取り組みが紹介されていました。
 
大谷るみ子さん 「相手の世界におじゃまする」
和田行男さん  「人として、普通に生きる」
加藤忠相さん  「思いも、支えてこそ介護」
  
記憶力や理解力が低下してコミュニケーションがとりにくい方々とどう向き合っていくのか、とても興味深い内容でした。
 
3人とも、やり方は違いましたが、「その人らしくあるためにはどうすべきか」を常に考え続けて、一人ひとりのお年寄りと真剣に向き合っていました。

 


 

「支えていく」というより「おつきあいしていく」という感覚で仕事をしていて、「相手の世界におじゃまする」とおっしゃっていた大谷さんの言葉が印象に残りました。

また、認知症になったらおしまいではなく、そこまで生き切った人に対する尊敬があるべきだし、その人たちの生活が最期までその人らしく楽しくあるべき、という加藤さんの言葉は胸に響きました。
 
介護とか医療だけではその人の生活は見られない。
その人が地域社会の中で生きていけるよう、地域の人たちの支えも必要だし、そのための「ひも」とか「糸」がいっぱい繋がっている状況をどう作っていくか、彼らの挑戦はまだまだ続いていきます。

興味がある方は、2019年9月10日(火) 午前0時20分から再放送予定ですので、ご覧ください。
 
加藤さんの書籍「あおいけあ流 介護の世界」もおすすめです。

 


あおいけあ流 介護の世界 (これからの日本の医療・介護の話をしようシリーズ2)

ひざ・股関節の痛みは週1スクワットで治せる!

ひざ・股関節の痛みは週1スクワットで治せる!(マキノ出版)
小島央

 

「痛いから薬を飲む→ダメなら注射→それでもダメなら手術」

といったように、自分で弱らせた体を他力で治そうとする信仰をもっている患者さんは非常に多いと思います。

また、整形外科医が理学療法士に丸投げして、実際にどんなことが行われているかも分からず、最終的に、注射や投薬、手術になるというのは、私が整形外科に勤務した経験からも、まさに現在の整形外科で行われている実態でした。

小島先生が推奨する、無酸素運動により筋肉に大きなストレスをかけることで、筋肉が強くなるよう体が適応しするという現象は有益だと思います。

むやみに回数をやるよりも、週に1回きちんと高負荷をかけて行う、というのも納得できました。

 

 

患者さんは痛いのをいやがりますが、痛みの耐えられる範囲でなら動いても大丈夫であり、自信をもって運動するのが治癒への近道というのは共感できました。

なお、個人的には、筋肉をつけるとともに、体の動かし方、使い方に関するアプローチも必要だと考えています。

 


ひざ・股関節の痛みは週1スクワットで治せる! (“筋肉ドクター”が教える特効筋トレ)

8/31に飛鳥晴山苑で地域交流会が開催されます

2019年8月31日(土)に、私が非常勤職員として勤務している飛鳥晴山苑で地域交流会が開催されます。

焼きそばや焼き鳥などの模擬店や、ブラスバンドやフラダンス、和太鼓などの催し物もあります。

時間は15時30分から18時です。

興味がある方はどうぞご参加ください。

https://seizan-kai.or.jp/publics/index/81/detail=1/b_id=340/r_id=150/sp_ssid=33

神田橋條治の精神科診察室

神田橋條治の精神科診察室 (IAP出版)
神田橋條治、白柳直子

 

患者さんの情報提供力を育成しているのが外来診療のいちばんの根幹と考える神田橋先生の診察技術の意図を、整体師の白柳さんが細かく聞きながら丁寧に解説した良書です。

まず診察室に入った際の立ち居振る舞いを観察、感覚していくことで、診断のあたりをつけ、それに合わせて適切な質問をしていきます。

患者さんに直接質問をするのではなく、質問に対する対処のありようから判断材料を集めていく、という考え方は大変勉強になりました。

また、直接問いただすのではなく、「いろいろあるのね」という忖度を投げてみて、それに対してどの程度、応対が合っているかに注目し、治療を混乱させないようにする配慮は素晴らしかったです。

「面接は社交ダンスと同じ」という解釈は独特で素晴らしいと思いました。

 

 

マニュアル通りに質問するのではなく、相手の体重がこう移ったのを感覚したから自分はこう動くという感覚。

これを意識していやっているようではまだダメで、もう身についてしまって無意識に出るというレベルまでいくのは相当難しいと思います。

臨床の役に立つヒントが満載の一冊でした。

 


神田橋條治の精神科診察室