神田橋條治の精神科診察室 (IAP出版)
神田橋條治、白柳直子
患者さんの情報提供力を育成しているのが外来診療のいちばんの根幹と考える神田橋先生の診察技術の意図を、整体師の白柳さんが細かく聞きながら丁寧に解説した良書です。
まず診察室に入った際の立ち居振る舞いを観察、感覚していくことで、診断のあたりをつけ、それに合わせて適切な質問をしていきます。
患者さんに直接質問をするのではなく、質問に対する対処のありようから判断材料を集めていく、という考え方は大変勉強になりました。
また、直接問いただすのではなく、「いろいろあるのね」という忖度を投げてみて、それに対してどの程度、応対が合っているかに注目し、治療を混乱させないようにする配慮は素晴らしかったです。
「面接は社交ダンスと同じ」という解釈は独特で素晴らしいと思いました。
マニュアル通りに質問するのではなく、相手の体重がこう移ったのを感覚したから自分はこう動くという感覚。
これを意識していやっているようではまだダメで、もう身についてしまって無意識に出るというレベルまでいくのは相当難しいと思います。
臨床の役に立つヒントが満載の一冊でした。
神田橋條治の精神科診察室