新釈 猫の妙術: 武道哲学が教える「人生の達人」への道

新釈 猫の妙術: 武道哲学が教える「人生の達人」への道
佚斎 樗山 (著), 高橋 有 (翻訳, 解説)

 

江戸時代に書かれた本を、現代に合わせて解説しながら

「ネズミ捕りの名人である古猫が、他の猫と一人の剣術家に教えを説く」

という話でしたが、奥が深くて勉強になる内容でした。

多彩な技で相手を倒す黒猫、気の力で相手を圧倒する虎猫、心を調和して相手に寄り添う灰猫、特徴が違う3匹の猫が大ネズミを退治しようとするが、いずれも大ネズミに圧倒されて逃げ出してしまう。

 

 

そんな中、毛並みが悪く動きが緩慢でぼってりした古猫が、簡単に大ネズミを捕えてしまった。

そんな古猫から、3匹の猫たちと猫の言葉が分かるという猫のお侍の勝軒が教えを乞うのですが、古猫の指摘が的確で物事の道理がよく分かる内容でした。

また、後半の解説でも戦いだけではなく、コミュケーションを例に、技や道理の説明をしていて分かりやすかったです。

 

 

どんな分野でも最も優れた人の定義の一つとして

「経験のない未知の事態に対処できること」

が挙げられていますが、それは「道理」が身に付いているから。

道理は現実には見えないからこそ、技の修業の中で感じていくしかない。

技の実践を通じてその奥にある原理原則や現実の本質を見通す心を身に付けたからこそ、どんな状況でも対応できるという説明は奥が深かったです。

 

 

そのほかにも印象に残った内容を以下に抜粋しました。

・先人の残した技というのは単純で簡潔なものが多い。しかし、単純、簡潔な技の中にこそ、無限の変化を可能とする道理が含まれている。技を学ぶとは、その底にある道理を身に付けること

・技には「念」から出るものと「感」から出るものがある。「念」とは考えること、「感」とは感じること。考えて出た「念」の動きでは相手も不自然さを感じてその動きに対応するからうまくいかない。考えず、しようとせず、心の「感」に従って動く

・教えとは、相手が自分で見ようとしない場所を指摘すること。しかし、そこで何が見えるのかを師から伝えることはできない。教えることは容易く、それを聞くことも容易いが、難しいのはその言葉を導き手として己の心に隠されたものを確かに見つけ、我がものとすること。

 


文庫 新釈 猫の妙術: 武道哲学が教える「人生の達人」への道 (草思社文庫 い 6-1)

【この記事を書いた人】

photo 西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。
はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師の国家資格を持ち、病気の治療、予防のお手伝いをしています。

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