がんばらない介護

がんばらない介護(ダイヤモンド社)
橋中今日子

 

著者の体験や相談者たちのエピソードを紹介しながら、「介護の現場で起こっていること」「介護者がつぶれないための、介護の心をラクにする方法」を紹介している良書です。

介護に携わることになり一人で悩んでいる人はもちろん、今後介護に携わる可能性がある人にも役にたつ一冊でした。

一人でがんばらず、いかに人を巻き込んでいくか、そのコツが実体験を元に記載されていたので、勉強なりました。

 

 


以下に、個人的に勉強になった内容を抜粋します。

 

・介護認定の際、証拠写真を残したり、感情に訴えるということは考えてもいませんでした。また、室内の掃除も自然にしようとしてしまうが、ありのままの状態を見てもらうことが大事というのはもっともだと思いました。

・介護する人が支援できるとしても、共倒れや今後の負担を考慮して、親世帯とは別会計にして生活保護を申請するという手も考えられるというのも知りませんでした。

・看取りとは、最期の瞬間に立ち会うことだけを意味するのではなく、介護されている人の不安な気持ちに寄り添い、背中をさすり、一緒に笑い、泣くことも立派な看取りであるという考え方は共感できました。

 

ほかにも、介護と仕事の両立の話や、家族間のトラブルの話など、参考になることが多かったです。

介護に悩む多くの方に読んでいただきたいです。

 


がんばらない介護

病気にならない暮らし辞典

病気にならない暮らし辞典(セブン&アイ出版)
本間真二郎

 

すべての病気の原因は、不自然な暮らしになる。
自然に沿った暮らしをすれば、病気にならない。

そんな考えの元、食事、生活、環境、医療といった暮らしの視点から、病気と健康を解説した良書です。

病気は医者に治してもらうものという考え方をしている人が多い中、自分の生活を省みて、より自然に沿った暮らしをしていくことで健康を取り戻していくという考え方は共感できることが多かったです。

ワクチン接種や薬の問題点など、医師の視点から解説しているのがよかったと思います。

 

 

私が参考になった箇所を以下に抜粋します。

・発熱、下痢、嘔吐、咳、鼻水などの外へ出す症状は全部治療になっているのだから医者にかかる必要がない。低体温、便秘、鼻づまりちった、外に出ない症状のときは主治医のところに行って診てもらう必要がある。

・予防医学は健診や人間ドックを受けて早期に病気を発見することではない。日常生活をどう生きるかということにつきる。なにを食べるか、なにを飲むか、どんな住環境にするか、なにを大切にするか、不自然なことをせず、なるべく自然に近づけて、心から楽しく、気持ちよく、前向きに生きる

・子供が病気の場合に、病院に行くべきかの簡単な判断の方法は以下の3つ。
 きげんがいいか(精神的に安定しているか)
 元気がいいか(身体的に余裕があるか)
 水分をとれているか(子供は脱水症状になりやすい)

 


病気にならない暮らし事典-自然派医師が実践する76の工夫-

へろへろ_宅老所よりあいの人々

へろへろ(ナナロク社)
鹿子裕文



大場ノブヲさんという一人のお年寄りの生活を支えようと思って始まった介護施設「よりあい」を描いた実話。

デイサービスや介護施設というと、いかにお年寄りを管理するか、プログラム通りにリハビリをすすめて現状の状態を維持するかに重きがおかれています。

ところが、よりあいでは、「ぼけても普通に暮らしたい」ということを基本方針とし、お年寄りの目線に立って生活を支えることを考えています。

 

 

入所ありきではなく、住み慣れた自宅での生活を長く続けられるような支援や、寝たりぼーっとしたりおしゃべりしたり、といった自分の好きな時間を過ごすことに重点をおいています。

在宅での生活を支えるために、その人にとって何が必要かを考えて動く。介護職が専門性を発揮するのは、介護の技術ではなく、そういったところであり、

「老人ホームに入らないで済むための老人ホーム」

という考え方は非常に共感できました。

住民説明会での村瀬さんの説明が印象に残りました。

ぎりぎりまで自宅で暮らす方法がひとつある。それは、自分の時間を誰かのために使うこと。

ボランティアや健康のためだと思ってやっても続かないから、遊び半分であまり深く考えずに一緒に何かをやることを続けてみる。

ランチを作ったり、バザーで物を売ったり、添い寝したり。そうやって何度も続けるうちに、顔見知りになって縁ができていく。

時間をかけてできた縁というのは易々とは切れない。そうやって縁をつくりながら、寄り添って支援をしていくのがよりあいが続けてきた支援である。

今後、さらに加速する高齢化社会に向けて、多くの方に読んでいただきたい良書です。

 


へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々

プロフェッショナル_介護者 加藤忠相さん

先日、NHKで放送しているプロフェッショナルで紹介されていた介護施設経営者 加藤忠相さんの話が素晴らしかったのでご紹介します。

介護施設ではマニュアルや時間割があって、何をやるのか決まっているのが普通ですが、加藤さんのところでは、それがありません。

利用者の方がやりたいこと、できることをどんどんやるようにしているからです。

この施設に入っている方の多くは介護度が高く、認知症を患っています。

しかし、3割以上の方の要介護度が改善しているそうです。

ポイントは、

「距離感を大切にして、感情にはたらきかける」

ということだそうです。

感情は脳の扁桃体という部分が大きな役割を担っており、快・不快、好き・嫌いの感情を司っています。

認知症になると、短期記憶や見当識の機能が低下しますが、体が覚えている手続き記憶は失われません。

利用者の方に、積極的に料理や配膳、編み物などを手伝ってもらうことで、手続き記憶を刺激しながら、この場所は心地よいと思わせることを繰り返していきます。

職員がお年寄りにつきっきりで世話を焼くのではなく、お年寄りの自立を支援する。

実際にこのやり方でやっていくのは大変かもしれませんが、これが本当の介護だと思いました。

参考サイト

http://www.nhk.or.jp/professional/2016/1003/

神田橋條治_マニュアルについて

「神田橋條治 精神科講義(創元社)」からのご紹介です。

神田橋先生が本書で説明していたマニュアルの話が印象に残りました。

マニュアルは、「こういうこともしたらいいのに」というのを、平均レベルにもっていくのに役立つもの。

しょうもない人を導いていくのにはいいけれど、もっと素晴らしいものを平均の側に引き寄せてしまう。

その副作用として、うんと優れたものはだんだんと抑え込まれてしまう。

 

ロボット

 

この話は看護の話の中で出ていたのですが、医療に関わらず当てはまる話だと思いました。

現場での経験から、マニュアル通りにいかなかったり、マニュアルが明らかに正しくなかったりする場合があると思います。

その際、自ら考えて工夫しながら試行錯誤していく姿勢がマニュアルを超えた、本当に役に立つ技術を生み出していくのだと思いました。

 


神田橋條治 精神科講義