てんびんの詩 商とはなんだ 商人とはなんだ(まあきゅりい・ぶっくす)
竹本幸之祐
今から30年以上も前に出版された書籍ですが、商いの本質をついた良書でした。
商家の後継者である13歳の少年が、商人とは何かを、自ら鍋蓋を売り歩く経験から学んでいく商いの物語です。
食うだけで一生が終わる百姓に比べて、才覚と努力で発展する商人。
自分の都合やもみ手、泣き落としで商いを行うのではなく、人の役に立つこと、買う人のことを考えることを身をもって学びながら、商人のありようを模索していく話は心に響きました。
挫折や不安、絶望、恥ずかしさなどの葛藤を乗り越えて初めて分かることがあることを実体験で学ぶことに意味があると思います。
本書の後半部分は、様々な商人の相談や意見を求められた、著者の商いに関する考え方が書かれていますが、これも非常に勉強になりました。
保障のない商人の最大の安堵は、真剣にお客に対応した満足感であり、「またきっと来て頂ける」という明日への期待であり、そんな日々の積み重ねで今日がある。
私もサービス業の一員として、お客様への提案や価値創造、合理的な説得力をもち、いつでも新しい提案や恒常的な楽しさをもちながら、いい競争をしていくことで進歩していくという市場原理を忘れずにいたいと思います。
商いとはなんだ 商人とはなんだ てんびんの詩