先日、60代の患者さんから聞いた話です。
こちらの患者さんは昨年から48式の太極拳を習い始めたそうなのですが、全然覚えられないと嘆いていました。
家で動画を見て復習しているのですが、正面からの動画だと左右が逆になって分からなくなってしまったり、横向きだと見えない部分があったりと、苦戦しているようです。
今の時代は録画や録音が簡単にできて、何回も見直すことができるからとても便利です。
私もピアノの練習をする時、先生に弾いてもらった演奏を録音しておいて、何回か聴き直したり、同時に弾いてみたりしながら練習しています。それでもなかなか上達しませんが…
ところが、昔は録画や録音ができなかったので見て、聴いて覚えるしかありません。
落語では「三遍稽古」といって、師匠に一つの噺を三回見せてもらって覚えるというやり方だったそうです。
参考サイト:
落語 木戸をくぐれば:第2回「噺を覚える」
https://www.110107.com/s/oto/diary/detail/1556?ima=0000&oto=ROBO004&cd=rensai
それこそ録音機器がない時代ですから、目と耳を全集中して覚えるわけです。
録画や録音は便利ですが、あとで見直せばいい、聴き直せばいいと思っていると、本気の集中力というのは出せないのかもしれません。
とはいえ、文明の利器を使わない生活には戻れないので、
「地道にがんばりましょう」
と患者さんと励まし合いました。