介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど、晩成しました(講談社)
今泉健司
奨励会を二度も退会しながらも、努力と忍耐を積み重ね41歳でプロ棋士となった男の大器晩成の物語です。
ここぞという一番で甘さが出て勝てない自分自身に対して、後悔と自己嫌悪、自己否定から自問自答を繰り返し、ギャンブルに手を出したり、何も手につかない状態になってしまいます。
そんな悪循環をいかにして脱出したのか。また、どうやって精神力を身につけたのか。
著者の凄まじい人生が細かく描かれていて読み応えがありました。
二度目の奨励会退会後に就いた介護の仕事で自信を取り戻したと著者は語っています。
相手がこちらの予期せぬ行動をとることは介護の現場では普通のことで、その都度どうすべきか必死で考えて辛抱強く対応する。
これはまさに将棋と同じであることに気付いて、自分の精神をコントロールできるようになったのは、様々な苦悩を経験してきた著者の強みだと思います。
彼女の励ましも大きかったと感じました。
「頑張ろう」ではなく「顔晴ろう」。
顔を晴れやかにした方が楽しそうでしょといって笑う彼女にどれほど励まされたか。
人は自分のためだけでなく、誰かのために戦っている方が力だ出せるのだと思いました。
夢に向かっている頑張っている人に勇気を与える一冊でした。

介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど、晩成しました