跳びはねる思考

跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること(イースト・プレス)
東田直樹 著

重度自閉症の著者が「生きる」ことの本質を鋭く自然な言葉で描いた一冊。

著者独自の世界観で、自分の心の声や自然との触れ合いが、分かりやすい言葉、分かりやすい例えで描かれていました。

自分の行動を自分の意志でコントロールするのが難しい著者がどうやって気持ちに折り合いをつけているのか、人との関わりが苦手だからこそ相手の優しさや温かさに敏感であるという著者の考え方は興味深かったです。

また、著者の幼少期の苦悩に対して、当時はどう考えていて、今はこう考えるようになったということが丁寧に説明されていて、自分にも思い当たることがあり、ドキッとしました。みんな人と違う事があって当たり前で、これは著者が自閉症だからということではなく、非常に豊な感性をもっているからこそ表現できることなのだと思います。

多くの言葉が胸に響いていますが、特に印象に残ったものを以下に抜粋しました。

・障害を抱えて生きることは、生まれもった境遇を誰かのせいにするわけではなく、いつか普通になれる希望にすがることでもありません。今日の幸せが、明日の幸せにつながることを信じ、今笑顔でいるのが大切なことです。

 

・僕は、相手のためだという理由で、好き勝手な意見を伝えるよりは、その人の悲しみや苦しみに、ただ寄り添うほうが、大切なこともあると感じています。話すことよりも、聞くことの方が難しい気がします。話せない自閉症者は、人の話を聞くだけの毎日です。人の話を黙って聞く、こんな苦行を続けられる人間が世の中にどのくらいいるでしょうか。

 

・質問がうまくできなかった人も、普段の会話で困ることがないのと同じように、自分の気持ちをきちんと伝えられないからといって、話せない障害者が、心の中に言葉を持っていないと、簡単に判断してはいけないと考えています。質疑応答とは、疑問に回答するだけでなく、登壇者と参加者の心と心をつなぐ架け橋のような対話で、相手を思いやりながら言葉を交わすことに意味があるのです。

 

・人生にとって重要な学びは二つあり、ひとつ目は勉強をして考える力を身につけること、ふたつ目は自分の幸せに気づくことです。外から知識を吸収するだけでなく、自分の内面を豊かにするのも大事なことだからです。

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