不便益という発想~ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも 行き詰まりを感じているなら、 不便をとり入れてみてはどうですか?
川上浩司 著
「不便益」という、不便であるからこそ得られる効用に着目した書籍です。
旅の不便がいい思い出になったり、AT車ではなくMT車を運転したり、おやつを上限300円と決めることで一生懸命選ぶ、といった不便益の効用が丁寧に解説されていました。
また、バリアーフリーと逆の発想で、身体能力を低下させないようあえてちょっとした段差や階段を配置した「バリアアリー」を実践しているデイサービスセンターの話や、片方の足がわずかでも動けば自分でペダルをこぐことができるCOGYというペダル付き車いすの話もおもしろかったです。
#COGYというペダル付き車いすについては、当院の過去のブログでも書いています。
「自分で動ける希望を生み出す魔法の車いすの秘密」
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/secret-magic-wheelchai/
本書は便利なものを否定しているわけではなく、便利なものが次々と開発されることで、人間が自ら手をかけ時間をかけ頭を絞ることを社会が許さなくなっている風潮がある、という著者の意見には共感できました。
実際に人が自らの手で習熟し、主体性をもってやることで、スキルがあがって自己肯定感ができる、ということがやりがいにも繋がってくるという考え方も分かりやすかったです。
・洗濯は洗濯機のスタートボタンを押す
・掃除はルンバが勝手にやってくれる
・食べ物を食べたかったら電子レンジに入れてスイッチを押す
・調べものはインターネットで文字を入力する
様々な日常の行為が楽にできるようになっているからこそ、あえて不便にすることで得られるものもあることに気付かされた一冊でした。
ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便をとり入れてみてはどうですか? ~不便益という発想 しごとのわ