未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること
河合 雅司 著
少子高齢化というと、単に子どもが少なくなって高齢者が増えるだけだと思いがちですが、実人口が減るだけでなく、高齢化に伴って一人あたりの消費量が減るというダブルの縮小で、新規採用も難しくなるし、今までと同じように利益を出すことも難しくなってきます。
人口減少が起こることでビジネスにどんな影響があるのかを、自動車産業、金融業界、宅配業界、農業、建設業界、鉄道業界、生活インフラ、医療業界、寺院業界、葬儀業界など、現時点で導き出せる数値を元にして推測しているので、説得力がありました。
正直、どの業界も大変ですが、人口減少により過疎化が進み、人手不足で電気、ガス、水道といった生活インフラが維持できなくなったり、宅配が配達できなくなったり、医者がいない地域が増えたり、鉄道が廃線になるということは危機的な状況だと思います。
本書では取り上げられていませんでしたが、介護業界や保育・学校・教育関係も現状の体制を維持できなくなってくると考えられます。
ではどうしていくかということに関しては、本書では「戦略的に縮む」、「一人あたりの労働生産性を向上させる」「多極集中にする」という対策を提案していますが、どれも簡単にできることではなく、今から少しずつ準備していく必要があります。
[おわりに]に書かれていますが、いつかはやらなければいけないと頭では分かっていても、「まずは目の前の課題をこなすのが先だ」といい言い訳しながら後回しにしてしまうという気持ちは本当によく分かります。
この本を読んで、この先どんな心構えをしておく必要があるのか考えるきっかけになりました。

未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること (講談社現代新書)