ひきこもりを家から出す方法(集英社)
猫田 佐文
中学時代から引きこもって10年が経過した影山俊治。
自分の部屋から出られないひきこもりの彼を救い出すための試行錯誤の物語です。
本当は社会と関わりを持ちたい、でもどうしてよいか分からないし、人の話を聴いても劣等感を抱いてしまう。
誰かに変な目で見られないか、気持ち悪いと思われないか、誰かと一緒にいてもいいのか、様々な不安を本当に小さな触れ合いの積み重ねで変化のきっかけを与えていく。
そして、何かができて達成感を得る、誰かに認められて承認欲求が満たされる、そんなことを繰り返して少しずつ自信を持てるようになっていく。
そんなプロセスが丁寧に描かれていて読み応えがありました。
本書はひきこもりをテーマにしていますが、痛みや体の不調でも応用できる考え方だと思いました。
患者さんのお話を丁寧に聴いて不安やイライラする気持ちに寄り添っていく。
その結果、少しずつ不安が減少していく。
痛みが起きていてもできることはないか、以前と比べて体を動かせる範囲が大きくなっていることを実感して頂く。
その結果、少しずつ良くなっていると実感し、さらにやってみようという気になっていく。
こんなふうに不安な気持ちに寄り添いながらも、できていることに気付くお手伝いをする。
そんな治療ができたらいいなと思います。