父と娘の認知症日記 : 認知症専門医の父・長谷川和夫が教えてくれたこと(中央法規)
長谷川和夫・南高まり
以前に、ブログで長谷川先生の著著「ボクはやっと認知症のことがわかった」を紹介しました。
ボクはやっと認知症のことがわかった
前作は、認知症となった長谷川先生が「認知症の方への接し方を多くの方に知ってほしい」という想いから、自ら認知症になったことを公表したものでしたが、本書ではそんな長谷川先生のお世話をする長女のまりさんの視点から書かれています。
内容は、認知症がどんなものなのかを知ったり、どう介護したらよいかを知るための本ではなく、長谷川先生がどんな人物だったのか、認知症になった長谷川先生がどんな生活を送っているのか、どんなことに困っているのかなど、実生活での体験が中心です。
本書の前半は、長谷川先生が医者になった1960年代から2000年代までどんな活動をして来られたのか、家族とはどんな風に接していたのかが紹介されています。
中盤以降は、「認知症」と診断された後の長谷川先生の様子がまりさんの視点で描かれていて、コロナ禍での過ごし方や、奥様と一緒に有料老人ホームに入居された話も掲載されています。
認知症になった後も「人様の役に立ちたい」という思いから、メディアの取材も断らず、認知症患者としてのご自身の状態や、地域との関わり方などが穏やかな言葉で語られていました。
認知症を抱えながらも、桜を見て喜んだり、コーヒーをおいしそうに味わったり、好きなタンタン麺を食べたりと穏やかな日常を送る姿に勇気付けられると共に、長年連れ添ってきた奥様を大事にする姿が素晴らしいと思いました。
本の背表紙に長谷川先生の自筆のメッセージが書かれているのですが、これが力強くて印象的でした。
「生きている限り生きぬきたい 生かされるのではなく自分の意志で生きたい」
父と娘の認知症日記 : 認知症専門医の父・長谷川和夫が教えてくれたこと