本のエンドロール (講談社)
安藤祐介
中堅の印刷会社である豊澄印刷を舞台にして、一冊の本ができるまでにどれだけの人間が携わっているかを丁寧に描いた物語です。
営業、工場作業員、DTPオペレーター、デザイナーなど、多くの視点で本ができるまでの工程やそれぞれの仕事の意義、やりがい等が描かれていて読み応えがありました。
本ができるまでには、本を書く人、企画する人、作る人、配本する人、売る人がいて、普段は関わり合いがなくてとも、一本の道上で繋がっていることが実感できる内容になっています。
印刷会社はメーカーだという自分なりの想いをもって営業の仕事をする人
毎日の仕事を手違いなく終わらせ、印刷機の稼働率を保つことを仕事の信念としている人
本が大好きで作家の文章を入力し・編集する仕事を天職だと思っている人
多くの個性豊かな人物が登場していておもしろかったです。
本書のタイトル通りのエンドロールが最後に掲載されていたのもよかったです。
こうすることで、本作りに関わっている人がいかに多いのか読者は実感できるし、本作りに携わっている方々も誇らしいと思います。
本好きの方におすすめの一冊です。
本のエンドロール (講談社文庫)