先日いらした30代の男性患者さんから聞いた話です。
その方は30代になって、初めてスノーボードをやったそうです。ちなみに、スキーの経験もありません。
初心者なので、たくさん転んで痛い思いをして大変だったけれど、2日間で少しは滑れるようになったとのことでした。
そのとき、「大人になってから新しいことを始めるのは大変だ」とおっしゃっていました。
私も40代になってピアノを始めたので、その気持ちはよく分かります。
大人になって、何か新しいことを始めた場合、子どもと違って上達が遅いことはよくあると思います。
そこで今回は、なぜ子どもは上達が早く、大人は遅いのかを私なりにスノーボードを例に考えてみました。
①先入観
大人は転ぶのが怖いです。転ぶと痛いですし、もし骨折したら仕事や生活に影響するかもしれません。
子どもは最初は恐る恐るかもしれませんが、少し慣れてくると怖がらず滑ります。
「転んだらどうしよう」という先入観がないので、どんどん挑戦して失敗を繰り返していくから、上達も早いのだと思います。
②手引書(手順書、マニュアル)
大人は手引書の通りにやろうとします。例えば以下のような感じです。
・ボードの上に体重を乗せている感覚をつかむために、最初は平らな場所で基本姿勢を練習することをおすすめします
・ボードの上に足をセットし、膝を軽く曲げます。この時に手を横に広げることでバランスをとりましょう。重心が真ん中にくるよう意識することがコツです
・ボードの上で体を動かしてみます。重心の位置が動くのでボードに乗っている感覚を感じることができ、体の位置を確認しながらトレーニングしてみます
・滑る時は体の重心を進行方向に傾けると進むことができます
引用元サイト:スキーマガジン 初心者でもスノボが上達する6つのコツとトレーニング方法
https://magazine.orion-ski.jp/snowboarding-tips/
ところが、子どもは手引書を読みません。実際にボードに乗ってみて、自分で体を動かしながら、転ぶことを繰り返しコツを掴んでいきます。
いくら手引書があっても、自分の体がその通りに動くわけではないので、結局はやってみて自分で感覚を掴んでいくしかないのですが、大人は転ばないように、失敗しないように、と手引書に頼ろうとするので、上達が遅いのだと思います。
③理屈は気にせず真似る
子どもは上手に滑っている人の動きや恰好を真似してとりあえずやってみます。
真似をしながら、自分の体をどうしたらよいのか感覚的に考えて、少しずつ上達していきます。
大人は真似するよりも、一つずつ手順を踏んで覚えようとします。なぜこうするのがよいのか?と理屈(筋の通った考え)を考えてしまうので上達が遅くなります。
今回はスノーボードの例で考えましたが、例えば自転車に乗る、ダンスを踊る、ピアノを弾くなどでも同じことが言えると思います。
ただ、子どもは上達が早い分、飽きっぽいという特長があります。
「これを続けるのだ」、「上手くなりたい」というモチベーションがあればよいのですが、子どもは大人に比べて好奇心が旺盛なため、色々なことに関心が移りやすいという側面もあります。
そのため、大人は上達が遅くても、じっくり取り組めば子どもよりも上手になることもあります。
私もピアノが少しずつ上達すればいいなと思って地道に取り組んでいきます。