身体技法研究者の甲野陽紀さんの書籍『身体は「わたし」を映す間鏡である』からのご紹介です。
本書の「頭ではわかっているつもり」という話が印象的でした。
・頭ではわかっているつもりでも、あらためて一つ一つ身体を動かしながら突き詰めていくと、いかに「つもり」であったかを思い知らされることがある。実際に身体を動かすことで実践しながら掘り下げていくと、理解はより深まり、知識は洗練されていく。人に教わるのではなく、自分で発見していくことの情報量はとてつもなく大きいもの。
実際に患者さんに助言をするとき、言葉で伝えるだけでは分からない、うまく伝わらないことがよくあります。
一緒に身体を動かしながら、動かした感じの違いを患者さん自身で感じていただく。
どんなふうに感じるか、言葉にして表現していただく。
そうすると、次に似たような動きをするときに、以前との違いを感じやすかったり、動かしやすさの違いがより分かるようになっていきます。
そうやって自分の身体の変化に気づくことで、今日はここが動かしずらいかな、少しこのあたりにひっかかりがあるかな、といった異変を感じやすくなって、自分自身でも注意することができます。
いかに、患者さん自身に身体の感覚を感じてもらうか、そのあたりを意識しながら治療を行っていきたいと思います。

身体は「わたし」を映す間鏡である