捨てないパン屋(清流出版)
田村陽至
豊かで幸せな生活をするためには一生懸命働かなければいけない。
そんな考え方も根本から覆す一冊です。
いかに手を抜いて働き、時間にゆとりをもって休暇をとりながら、食料廃棄や環境問題にも目を向けた内容が素晴らしかったです。
ヨーロッパで成功しているパン屋のやり方をうまく真似して、製法やパンの種類を減らして、その分最高の材料を使って薪でパンを作る。
働くときと休むときのメリハリをしっかりつける。
そんな独自の方法を試行錯誤しながら開発した著者の体験が誠実に紹介されていたことに好感がもてました。
以下、印象に残った内容を抜粋しました。
・家と職場を往復しているだけでお客様が来るというのは甘えだと思う。成長するために材料探しの旅に出る。
・クレーマとは「他人の仕事に厳しい人」。みんながみんなを監視しているような息苦しさ、人の目を気にして仕事をしないといけない感じ。それに対処するには「クレームには笑顔で対応、その後は無視」、その輪を広げていけば、もっと自由で寛容な社会に戻る気がする。
・常連さんはえこひいきする。新規の人を待たせても常連さんに「私は大事にされている」と感じていただくことを優先する。
捨てないパン屋