ボクもたまにはがんになる(幻冬舎)
三谷 幸喜 、頴川 晋
人間ドックで腫瘍マーカーのPSA(前立腺に特異的なタンパク質の一種)の数値が高いことをきっかけに、経過観察をしながらも前立腺がんの手術を受けることになった脚本家・三谷幸喜氏と、慈恵医大の泌尿器科教授で主治医の頴川晋先生の対談をまとめた一冊です。
告知、転移、ステージ、治療方法、退院後の経過など、要点を抑えながらもおもしろおかしく展開される対談は読みやすかったです。
三谷幸喜氏の肛門やひげの話、射精や尿漏れの話など、着眼点がおもしろかったと思います。
以下に、印象に残った内容を抜粋します。
・手術をするってことは、病気を治すためにやっていることであって、手術前とまったく同じ状態に戻るわけではない。
・どんな病気も、治療をしてそれで終わりじゃない。治療が本当にうまくいったかどうか、きちんと確認していかなきゃいけない。そこの部分が結構長い。真田丸で言うと、全50話のうち、手術は第5話くらいの段階。手術がゴールではなく、術後も定期検査を積み重ねながら、日々の生活、健康にしっかり気をつける。
・がん治療の未来として目指すところは「慢性疾患」である。予防できなくても、がんになってしまった後、がんと共存しながら寿命をまっとうすることができる未来、つまり慢性疾患にすることがひとつのテーマだと思う。
その中でも特に印象に残ったのは、「がん治療の未来として目指すところは「慢性疾患」である」という頴川先生の言葉です。
これは、腰痛や膝痛にも同じことが言えると思いました。
特に高齢者の場合、痛みをなくすことはなかなか難しく、
・痛みが少しあるけれども日常生活は問題なく過ごせる、
・起床時は腰が痛いけれど、ベッドで簡単な運動を行えばそのあとはスムーズに動ける
といったように、症状と共存しながらうまく付き合っていくことも大事だと考えています。
がんとの付き合い方や前立腺がんに興味ある方におすすめの一冊でした。
ボクもたまにはがんになる (幻冬舎文庫 み 1-8)