小児科の先生が車椅子だったら

小児科の先生が車椅子だったら
熊谷 晋一郎 著


脳性麻痺の小児科医が、障害や依存について子どもでも分かるように解説していて読みやすかったです。

昔のリハビリ医療というのは「健常児に近づける」ものでしたが、脳性麻痺という治らないものを無理に治そうとするのでははなく、どうやったら生活しやすくなるか考えていくことの必要性がよく分かりました。

 

 

体のなかに障害があるという考え方のことを「医学モデル」、狭い通路や段差、階段など体の外に障害があるという考え方を「社会モデル」という二つの考え方があるという話。

医学モデルで障害をなくすには、手術やリハビリをするしかないけど、どんなに頑張っても人はそんなに変わらない。

だからこそ、建物や道具、道を変えていく社会モデルで障害を考える必要がある。

あなたの努力が足りない、もっと頑張らないとダメ、と言われ続けた熊谷先生の言葉はとても優しく説得力がありました。

 

 

また、女性で初めてノーベル経済学賞をとったオストロムという研究者が提唱した「コ・プロダクション」という言葉を知らなかったので勉強になりました。

これは、サービスを受ける側が、サービスの設計や運用に参加しなければうまく機能しないため、最初のデザインの段階からそれを受ける側、使う側の双方が関わる必要があるという考え方のことです。

本書の後半は、Chio通信という子どものことや社会のことを考えたエッセイの一部が紹介されていました。

障害に対する考え方や社会で起きている問題との向き合い方など、気付きになることが多い一冊でした。

 

 


小児科の先生が車椅子だったら ─私とあなたの「障害」のはなし (ちいさい・おおきい・よわい・つよい No.123)

【この記事を書いた人】

photo 西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。
はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師の国家資格を持ち、病気の治療、予防のお手伝いをしています。

たった一人でも、「治療に来てよかった」と満足していただき、 人生を豊かに過ごすお手伝いをすることを理念としております。
お気づきの点や質問等ございましたら,どうぞご遠慮なくお聞かせくださいませ。

こんな症状の方が来院されています


関連記事


[カテゴリー]