先日、訪問治療に伺っている患者Aさんから聞いた話です。
Aさんは、マンションを保有していて、賃貸契約で部屋を貸しているそうです。
ある日、複数の住人から
「テレビの電源を入れてチャンネルをまわしても、テレビが映らない」
という問い合わせを受けました。
困ったAさんは、マンションにアンテナを設置した大手電気店に事情を説明して見てもらおうと電話をしたところ、
「日程調整に時間がかかるので、早くても伺えるのは1週間後くらいになる」
と言われたそうです。
それでは困ると思い、近所の小さな電気屋さんに行って、そこのご主人に事情を説明しました。
そうしたら
「今からすぐに伺う準備をするので、5分くらいお待ちください」
と言われ、すぐにマンションまで来てくれました。
その結果、理由は分かりませんが、ブレーカーが落ちているのを電気屋さんのご主人が発見して、それを入れ直したらすぐに改善しました。
Aさんはすぐに対応してくれた電気屋さんのご主人に感謝して一万円を渡したのですが、
「こんなに頂けません」と言われたそうです。
Aさんは、
「だったらお宅のお店で何か買います」
と言って一緒にお店に行って、電気あんかを購入しました。
その際、一万円を渡して、「お釣りはいりません」と伝えたのですが、ご主人はやはり「こんなに頂けません」と言って、いくらかを返し、残りを出張料金として頂戴したそうです。
私はこのお話を伺って、町の小さな電気屋の迅速かつ誠実な対応に感動しました。
大量生産、大量販売ができない小さな電気屋さんがどうやって生き残っていくのか。
そのヒントが多く詰まったお話でした。