東洋医学では、四千年以上前に中国で残されたといわれている「黄帝内経(こうていだいけい)」という文献があります。
その中で、病気の原因として、外因、内因、不内外因という3つの因子があげられています。
1.外因
外因とは、暑さや寒さ、湿気など、主に人体の外から病気の原因となるものです。
風、寒、暑、湿、燥、火の6つに分けて考えています。
風:空気の流動
寒:温度の低下
暑:温度の上昇
湿:湿度の増加
燥:湿度の減少
火:温度の異常上昇
2.内因
内因とは、怒りや悲しみなど、主に人体の中にあって病気の原因となるものです。
喜、怒、思、憂、悲、恐、驚の7つに分けて考えています。
喜ぶ:うれしくて気が緩む
怒る:カッなって気が逆上する
思う:考えすぎて気がふさぐ
憂う:心配して気をもむ
恐れる:恐ろしくて腰が抜ける
驚く:驚いて気が動転する
3.不内外因
不内外因とは、外因でも内因でもないものです。
飲食の不摂生、疲労、創傷、中毒、遺伝体質などが該当します。
現代では、不安やイライラなどのストレスが病気の原因となることは当たり前と考えられていますが、四千年以上前の中国で、すでにこのような考えがあったことは驚きです。
逆に、昔は考えられていなかったけれど、現代では病気の原因と考えられているものとして、運動不足、昼夜逆転の生活、薬物過剰摂取、手術の後遺症などもあると思います。
また、現代の病気の原因は複雑化しており、1つだけが原因となることはほとんどなく、大抵複数の要因が関係していると思います。
よって、患者さんから話を伺う際には、いつから・どのように発症したのかを伺うだけでなく、季節や、生活習慣、ストレスとなる事項などにも気を配り、原因を探っていくことが必要です。
参考文献:図説 東洋医学<基礎編>
図説東洋医学 基礎編