「人を大切にする経営学講義」(坂本光司 著)からのご紹介です。
「日本で一番大切にしたい会社」シリーズで素晴らしい企業を紹介し続けている坂本光司さんが、経営に関してどうあるべきかを述べた本です。
現在の日本社会においては、転職やリストラがあり、定年まで同じ会社に勤めることは少なくなっています。
その結果、給与体系も年齢とともに給与が上がる年功序列よりも、成果を上げた人に高い給与を与える成果主義が多くなっています。
しかし、著者は大家族的な経営を目指すなら成果主義よりも年功序列の方がよいとすすめています。
その理由は以下の通りです。
①成果を公正に計ることが難しいため
担当地区や商品にもよるし、担当設備、工程、チームメンバーによっても異なってくる。総務や会計などの間接部門では、加点ではなく減点で評価することになるため、新しい仕事にチャレンジする人がいなくなる。
②成果主義は組織や個人を過度や競争に走らせ、企業内に勝ち負けを生んでしまうため。
企業内における連帯感やお互い様風土が薄れて、ギスギス感が出てくる。
③好況・不況に左右されずに好業績を持続している企業の大半は年功序列をとっているから。
年功序列についての1つのエピソードが紹介されていました。
ある日、66歳の社員Y氏が健康診断でがんが見つかり、二年半、入院することになった。
この間、Y氏は一日も出社できなかったが、この会社では、Y氏の給料、賞与を減らさず二年半にわたり病院に届け続けた。
これは社長だけでなく、社員の提案でもあり、社員たちは当然だと考えていた。
その理由は2つあり、1つは、自分たちは入社してからまともに給料を稼げるまで先輩たちに支えてもらっており、今はそのお返しの番だから。
2つ目は、病気は誰でもなる可能性があり、自分がその立場だったらどうしてほしいか考えたから。
会社は家庭、社員は家族だから。
一緒に働く仲間を家族と考え、お互いに足を引っ張り合うのではなく、お互い様の気持ちで協力しあう。
そんな職場がつくれるようにしたいと思いました。
人を大切にする経営学講義