あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから(サンマーク出版)
平光源
本書の冒頭から
「あなたは本当にすごいです」
と、そのすごさや頑張りを認める言葉が並び、その存在そのものに価値があることを承認されているようで、引き込まれました。
本書を読んでいくと、精神科医の平先生自身が、三浪してうつになりながら医学部に入ったり、恩師の精神科医が突然自殺したり、東日本大震災で被災したり、担当している患者さんが自殺したりと、本当に多くの苦労をされています。
そんな平先生が書いた言葉だからこそ、その一つ一つが優しさに包まれているような感覚で胸に響いてきました。
心が弱っている時、死にたいという考えが過ぎった時、罪悪感から抜け出せない時、そっと心に寄り添う一冊です。
以下、特に印象に残った言葉を抜粋しました。
・正しいか正しくないか、自分が悪いのか周りが悪いのか、そんなときただ「違うなぁ」、「合わないんだな」と思うことも大切。今の環境に感謝しながら、罪悪感を感じずに、自分が輝ける場所を探しても良い
・自然界においてはマイナス思考が正常。不安、緊張警報が発令することで、外敵から身を守る行動をとることができる。だからネガティブでも落ち込む必要はない。
・ADHDは障がいではなく能力である。医学でいう異常とはたんに基準値から外れた部分のことを言う。自分の短所と思うところは、実は天から授けられたかけがえのない長所である。アインシュタイン、モーツァルト、ジョブス、フェルペスのような創造的な仕事をする可能性を秘めている。
・うつは心の骨折のようなもの。なるべく頭や心を動かさず休養と睡眠、栄養をとって心の骨がくっつくのを待つ安静期。骨がちゃんとくっついた後、弱った心の筋肉を散歩や読書で回復させるリハビリ期間。休むことは治療であって、サボることではない。
・症状は、厄介ごとではなく、無茶できないようにやる気物質の分泌を抑えたり、体を休ませるためのメッセージ。頑張っている体をいたわってあげることも大事。
・日本では「人に迷惑をかけないようにしましょう」と教えられて育つ。だが、インドネシアでは「お前も人に迷惑をかけて生きるのだから、人の迷惑をも許してあげなさい」と教えられる。誰にも迷惑をかけずに生きることは不可能。迷惑を不快の連鎖ととらえるのではなく、「お互い様」、「許してくれてありがとう」と感謝の連鎖ととらえることで、見える世界が180度変わる。

あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから