ボケ日和―わが家に認知症がやって来た! どうする?どうなる?(カンキ出版)
長谷川 嘉哉
本書は、認知症がどう進行するか、どんな兆候があるかを知っておくことで、どんな対応をとることができるのかを4段階に分けて、段階ごとに介護者目線で解説していた良書でした。
著者が「はじめに」で説明している通り、大事なのは「患者さんよりも、介護者さんの心身を守る」ということ。
介護者さんがイライラしたり、疲れていたりすると、それが患者さんにも伝わるし、笑顔でいる時間も減って患者さんとのコミュニケーションもとりにくくなるというのはもっともだと思いました。
一緒にいるだけで患者さんを笑顔にできるのは家族だけ。
看られるところまで看たらそのあとは他人でもできることは介護のプロに任せ、家族にしかできない精神的なケアに専念する。
著者が言うとおり、今は介護保険制度をうまく利用して、他の人の助けを借りながら介護をする重要性が理解できました。
個人的に印象的だった内容を以下に抜粋しました。
・「お金盗った」は介護の勲章
色んなことが分からなくなっていてとても不安な患者さんは、一番一緒にいてくれて、一番頼りにしている人に意識が向いているから、嬉しいことも不安なことも、起こったことはすべてその人に結び付けて考えてしまう。つまり、「お金盗った」と言われる人は、もっとも身近で誰よりも面倒を看てくれている人だということが分かっている。
・頑張るあなたの姿を、きっと誰かが見ている
介護生活を終えても、「自分は本当にベストを尽くしたのか」と自問し続ける人がいる。そんな人に「頑張るあなたの姿を、きっと誰かが見ている」と伝えたい。特に子どもは、介護者の献身的な姿、頑張る姿を見て誰かの役に立ちたいと願い様々なことを学ぶ。
超高齢社会に突入していく中、多くの方に認知症の知識を持っていただき、介護者さんだけでなく介護保険や地域社会でも支援ができる社会になることを願ってやみません。
ボケ日和―わが家に認知症がやって来た! どうする?どうなる?