養生訓とは、江戸時代の儒学者 貝原益軒によって書かれた健康についての指南書です。
養生訓 (講談社学術文庫)
貝原益軒 著 伊藤友信訳
自らの実体験を元に、飲食、色欲、五官(目、耳、鼻、口、皮膚)、予防医学、鍼・灸、薬など養生に関する様々な注意点、心得を述べています。
その中から、今回は「古法を重んずる」について紹介します。
要点を要約すると以下の通りです。
医学を学ぶには古法を追求し、広く学び、古い治療法を参考にしながら工夫するのがよい。
同時に、時勢のなりゆきを考え、人の強弱を予知し、日本の風土と国民性をとらえて治療を行うのがよい。
古法に基づいて、現在にも合っていれば誤りは少ないはずである。
聖人(孔子)は「故(ふるき)を温(たず)ね新しきを知る。以て師とすべし」といっており、医者はこうありたいものだ。
これには共感できることが多いです。
特に、はり・きゅう治療は経験医学の集積であるため、古法を参考に勉強するのが大事です。
ただ、古い方法だけ勉強してもそのまま現代に適用できるかはしっかりと考える必要があります。
例えば、昔は農業や漁業など、身体を動かす仕事に就いている人が多かったと思いますが、現在はパソコンの普及に伴い、デスクワークの仕事に就いている人が増えています。
こういった労働形態の変化に伴い、昔と同じ治療法がそのまま使えるのか、ツボの反応がどう変化しているか等、よく考えて治療を行う必要があると思います。
養生訓 (講談社学術文庫)