当院にいらしている患者さんで、働きながら資格をとるために勉強したり、講座に通っている人が何人かいらっしゃいます。
一級建築士、公認会計士、介護初任者研修、宅建、公務員試験など、時間をかけて勉強しないと資格がとれないものもあり、業務時間外や休日に勉強している方もいらっしゃいます。
私自身も、日中にシステムエンジニア(以下SE)の仕事をしながら、夜間に「はり・きゅう・マッサージ」(以下鍼灸マッサージ)の専門学校に通って国家資格を取得しました。
「SEから、なんで鍼灸マッサージへ業種変更しようと思ったのですか?」
「仕事をしながら、夜間の学校に通うのって大変ではないですか?」
と、数人の患者さんから聞かれたことがあります。
そこで、2回に分けて、
①SEから鍼灸マッサージへの業種変更の決断理由
②鍼灸マッサージの専門学校に通って思ったこと
について、書きたいと思います。
今回は
「①SEから鍼灸マッサージへの業種変更の決断理由」
について書きます。
私がSEから、鍼灸マッサージへの業種変更を考えたのが26歳か27歳の頃で、決断したのが30歳になる年です。
まず、鍼灸マッサージを選んだのは、自分自身が頭痛と首肩こりで鍼灸マッサージの治療院に通っていたことが理由です。
SEの仕事も楽しくてやりがいがあったのですが、
・業務多忙による徹夜や休日出勤が多かった。20代、30代は体力があるのでまだよいが、40代、50代でも続けていけるか不安があった
・私の上の世代は団塊ジュニア世代で、社内的に昇進ポストが詰まっていて、将来的にどうなっていくか分からなかった
ということがありました。
鍼灸マッサージの仕事であれば、自分自身で体調を管理しながら、60代でも続けていけるのではと考えました。
そこで、まずはインターネットで通える範囲の鍼灸マッサージの学校を調べたり、学校に電話して資料を取り寄せたりしました。
しかし、業種変更は今まで積み上げてきたキャリアがゼロになってしまうこともあり、簡単には決断できません。
資料を取り寄せたものの、すぐに行動を起こすことはできず、数年間考えていました。
最終的に決断したのは30歳になる年だったのですが、その決め手になったきっかけはいくつかありました。
・年齢的にキリがよく、新しいことに挑戦するのによいと考えた
・新しいプロジェクトのメンバーが入って、今後のことを任せていけそうだった
・私が担当していたプロジェクトの業務が落ち着いて、定時で帰れる日が増えていた
これらの理由で、鍼灸マッサージの道に進むことを決断したのですが、仕事をどうするかが問題でした。
選択肢として、以下の2つの可能性がありました。
A:今のSEの仕事を続けながら、夜間に専門学校に通う
B:昼間に鍼灸マッサージ関係の仕事に携わりながら、夜間に専門学校に通う
Aの場合、職場に黙っている訳にも行かないため、事情を説明して17時に帰らせてもらう調整が必要です。
Bの場合、現時点ではまだ無資格ですし、一から仕事を覚えることになるため、当然収入は期待できません。
当時勤めていた会社の上司および担当していた業務先に事情を説明したところ、8時から17時まで勤務して、そのあとに18時から夜間の専門学校に通うことを了承して頂けました。
異なる業種の専門学校に行く訳ですから、将来的には職場を退職する予定であることも伝えました。
この時点では2年間は仕事を続けて、3年目のどこかで転職するつもりでしたが、絶対に職場に迷惑はかけないよう、半年前には退職の意思を伝えて、業務の引継ぎをしっかり行うことも約束しました。
鍼灸マッサージの専門学校に通う決断をした時点で、学費や生活費などの当面の資金は準備していましたが、それでもSEの仕事を続けられたことは本当にありがたかったです。
こうして、8時~17時はSEの仕事をし、18時~21時10分まで鍼灸マッサージの専門学校に通うことになりました。
学校に行き始めたのは30歳の2011年4月、東日本大震災が発生した年でした。
次回に続きます。