天下一の軽口男(幻冬舎文庫)
木下昌輝
大事な人を笑わせることに命を懸けた米沢彦八の生涯を描いた物語です。
昔はお伽衆と呼ばれ、笑いは大名な大商人のみを相手にした商売でした。
それが武士や百姓、職人、商人、すべての民が笑う商売へと変えた彦八の生き様は素晴らしかったです。
彦八の笑いの才能に嫉妬した同業者から数々の嫌がらせや盗作を受けて苦しみながらも、周りの助けを借りながら、それを逆境にして自ら活路を切り開いていく姿は胸を打たれました。
特に、お殿様の前で芸を求められたときの彦八の態度が立派でした。
最後は予想外の終わり方でしたが、最後まで彦八らしい笑いを追求していました。
笑いで人を救い、笑いの為に一生をなげうった愛すべきぼんくら男の名に相応しい生き様でした。
天下一の軽口男 (幻冬舎時代小説文庫)