緩和医療と心の治癒力 (築地書館)
黒丸尊治
ただ黙って穏やかに死を迎えるというイメージの緩和医療の現場において、
代替療法にすがる患者さん
治療的な関わりを希望する患者さん
痛みをとって安らぎを求める患者さん
など、様々な患者さんとの触れ合いや想い受け止め、医療者としてどう考え、どう向きあってきたのかが真摯に語られていた良書です。
余命宣告された患者さんは、現実を受け入れることは難しく、死と向き合うことができない。
そんな中でも、苦痛や苦悩を少しでも和らげることができれば、信頼感や安心感が生まれていく。
そして、何か心地よいと感じることに意識が向いてゆったりした時間を過ごす中で、余計なこだわりがなくなって穏やかに過ごすことができるのではないか、という黒丸先生の考え方に共感できました。
リラックス系の代替医療や治療系代替医療なども多く紹介されていて勉強になりました。
治癒や自然寛解だけが希望なのではなく、いかに穏やかに最後を迎えることができるのか、そのためにどうやって心の治癒力を働かせるのか、学びが多い一冊でした。

緩和医療と心の治癒力