人間の記憶の凄さを間近で感じた印象的な出来事

先日、訪問マッサージに伺った患者さんとお話した内容が印象に残ったので紹介します。

こちらの患者さんは80代後半の男性(以下Aさん)で、お子さんは独立して奥様と二人暮らしです。

少し認知機能が低下しており、これ以上悪化しないようノートにその日にあった出来事を書いておられます。

 

 

しかし、書いただけだとやはり忘れてしまうので、

・今週はどこかに外出しましたか?

・デイサービスはどんな感じでした?

・インフルエンザの予防接種に行くとおっしゃってましたが、どうでしたか?

など、色々な話をすることで直近の出来事を思い出すような働きかけをしています。

 

11月に伺った際に、Aさんと話をしていたところ、奥様が

「そういえば、今日は何の日か分かる?」

とAさんに聞きました。

あえてそのように聞くからには、きっと大切な日なのでしょう。

私も助け船を出すつもりで、

「ご家族の方の誕生日とか記念日なのかもしれませんよ」

と話しかけてみましたが、なかなか思い出せません。

すると奥様が、

「今日は結婚記念日ですよ。さらに亡くなったあなたのお母さんの誕生日でもありますよ」

と答えを伝えました。

Aさんは、

「あーそうだったか!」

と思い出せなかったことが残念なご様子でしたが、きちんとノートに11月〇日、結婚記念日と書いていました。

 

 

そんな出来事があった後、今度は12月8日に私が訪問した時の話です。

マッサージを始めると、Aさんから

「佐藤さん、今日が何の日か分かりますか?」

と突然聞かれました。

私はAさんと奥様の誕生日は把握していましたが、どちらも該当しないし祝日でもないし、何の日だろうと思って、

「うーん、分からないです。今日は何かの日でしたっけ?」

と確認したところ、

「1941年12月8日、太平洋戦争が始まった日です」

とお答えになりました。

終戦の日の8月15日はすぐに分かりますが、恥ずかしながら開戦した日は思い出せませんでした。

当時、子どもだったAさんにとって、戦争は生涯忘れないであろう痛烈な体験だったのだと思います。

人間の記憶の凄さを間近で感じた印象的な出来事でした。

 

 


【この記事を書いた人】

photo 西ヶ原四丁目治療院 院長の佐藤弘樹(さとうこうき)と申します。
はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師の国家資格を持ち、病気の治療、予防のお手伝いをしています。

たった一人でも、「治療に来てよかった」と満足していただき、 人生を豊かに過ごすお手伝いをすることを理念としております。
お気づきの点や質問等ございましたら,どうぞご遠慮なくお聞かせくださいませ。

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