三千円の使いかた (中公文庫)
原田ひ香
年金暮らしで、貯金が目減りしていくのが心配な祖母・琴子。
がんの手術で入院したことをきっかけに夫婦関係やお金のことを考えるようになった母・智子。
安月給の夫の稼ぎのみで生活する3歳の子どもの母親で専業主婦の姉・真帆。
そして一人暮らしを始めるも先輩がリストラされ将来のことを考える妹・美帆。
それぞれの立場でお金や節約に対する価値観が描かれていて楽しめました。
70代でもお金を稼ぐことができる喜びや、専業主婦としての地道な小遣い稼ぎ、熟年離婚する場合の財産分与の現実など、お金のマメ知識も知ることができるのがよかったです。
また、子どもが自立して冷え切った夫婦関係を見直す話や、結婚したいと思っている相手が多額の借金(奨学金)を返済しなければならない話などもよくありがちな話でしたが、どんな結末になるか読み応えがありました。
個人的に印象に残った内容を以下に抜粋。
・家計簿っていうのは使ったお金を書くだけじゃなくて、予定を立てることが大切なんだ。今月、いくらお金が入ってきて、いくら出ていくか。その中で自分が使えるお金はいくらなのかを把握しておくことで、計画や予定が立てられれば、不安になったり他の人と比べたりしなくなるかもしれない。
・私が会社をやめて分かったのは、人生はいつからでもできることがある、ということ。今の時代、絶対なんて人生はないから、いつからでも、どこからでも始められるように備えておくことが誰でも必要なんじゃないかな。
老後のお金が心配な方や、浪費に悩む方におすすめの一冊です。
三千円の使いかた (中公文庫)