最近ふと「治る」とはどういうことなのか、と考えます。
よく
「この患者のぎっくり腰は俺が治した」
「この先生のおかげで五十肩がすっかりよくなった」
「どこに行っても治らなかったのに、あそこに行ったらよくなった」
といった話を聞きます。
確かに、ある施術(はり・きゅう・マッサージなど)により症状が改善したのだから、それは治ったと言えるのかもしれません。
でも、判断が難しいのが
「その施術がどの程度の効果があったのか」
ということです。
人間のからだには、元々自然治癒力が備わっていて、時間の経過とともに、ある程度症状が治癒していきます。
それ以外にも、
患者さん自身がストレッチをしたり、
痛い姿勢をとらないように注意したり
と患者さんの日常の行動が症状の改善につながることもあります。
ずっとストレスになっていたことから解放された、
心配していたことがうまくいった、
ということで症状が改善することもあります。
今までやってきた別の治療院での効果があとから効いてきたということも考えられます。
つまり、
「施術者だけの力で患者さんが治ったのではない」
ということです。
そもそも、「からだを治す」のは患者さん自身のからだであり、施術者はそのきっかけを提供するに過ぎません。
施術者として大事なことは、
「からだを治すのは患者さん自身である」
ことを見つめ直していただき、患者さんと一緒に治療をしていくことだと思います。
治療が奏功して患者さんが「楽になった」と言って下さっても、それを「自分が治した」と驕らぬよう、治療に臨みたいと思います。