運命の顔(草思社)
藤井輝明 著
海綿状血管腫という原因不明の病気で顔面にハンディを負った著者の生き方を描いた実話。
顔にハンディがあるだけでいじめられたり、差別されたり、就職の面接が決まらなかったりと理不尽な目にあってきた著者。特に、人からつばを吐き捨てられたり障害者扱いされたりというような経験は想像を絶するような苦しみだったと思います。
そのハンディに悩み苦しみながらも屈することなく、誰よりも勉強し自らの道を切り開いていく生き様は素晴らしかったです。河野臨床医医学研究所、筑波大学、名古屋大学と多くの恩師や良縁に巡りあえたのも、著者の努力の賜物だと思いました。
また、著者の両親の支えも大きかったと思います。幼少期にできるだけ血管腫のことを考えないよう多くの習い事をさせたり、それにお母さん自ら参加したり、自信をつけさせるために多くの体験をさせようという切実な思いが伝わってきました。
大学以降の両親のことはあまり描かれていませんでしたが、就職や進路に悩む著者を励ましながらもあえて必要以上の干渉はせず、ずっと著者のことを見守り続けてきたのだと思います。
運命の顔