医者の9割はうつを治せない

医者の9割はうつを治せない(祥伝社)
千村晃

うつに関して、ただ薬を処方して規則正しい生活をしましょう、といったような紋切り型の対応がいかに正しくないかが具体的な根拠をあげて説明されている良書です。

 

身体の病気の場合、病名を診断することが治療につながるため診断は重要ですが、心の病の場合は病名を知ることより、症状を引きおこした原因を知ることが大切で、それには緻密な診察が必要あるという著者の意見も納得できました。

 

診察と検査を行い投薬をすることだけが医師の役割ではなく、病でない初期の段階においても「健康を維持するために何を注意すればいいかのアドバイスする」という著者の考え方にも共感できます。

そのほか共感できたことを以下に抜粋しました。

・うつを減らせば自殺者も減る。そのための早期発見、早期治療をすることでかえって患者が拡大生産される過剰診断につながる。

・病気の基準をつくって杓子定規に当てはめ拡大生産することにより、個人の違いに目が届かなくなる。精神疾患は個々人で治療が異なるべきであるのに一元化されてしまうことで病人にされてしまってなかなか治らない。

・症状だけ似たような症例の人を探して自分の参考にしようとしてみたところで、あまり意味はなく、参考にならないものを勘違いして参考にしてしまう弊害のほうが大きい。

 

うつを根治するにはただ医師に任せるだけでなく、医師と患者が協力してきちんと症状を引き起こした問題点と向き合うことが必要であることがよく分かりました。

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