お客を捨てる勇気
中谷嘉孝 著
本書は、一人でヘアサロンを経営している男性が主人公で、顧客ニーズに無理して応えるのではなく、自店の強みを大事にして、自分の想いをもとにした「旗」を掲げ、その旗に集まってくれるお客だけを大切にすることで安定した経営を行いながら幸せになることを目的とした内容になっています。
この本で語られていることは、小さなお店を営むものにとっての真理であると思いました。
「大好きな人たちに囲まれて、幸せな時間を過ごしながら、きちんと儲かる状態」
まさにこれが目指すところなのですが、やはり目先の売上や利益にとらわれて、今すぐできるかとか、安くできるかだけを考えるお客に振り回されてしまいます。
「お客様を、業を通じて人生という貴重な時間をともに共有する同志としてとらえてみる」という考え方はとても共感できました。
価格設定についても、高単価にして他にはない自分だけの旗を掲げることで、お店はいつだって真剣勝負を求められるし、お客様にも自分の選択は正しかったと思ってもらえます。
この境地まで行くことができれば、本当に理想の店舗経営ができると思います。
また、本書に描かれている、新規客優待割引がおかしいというのも同感です。
初めてのお客様よりも、永く通ってくれているお客様こそ大事にすべきというのはもっともだと思いました。
タイトルの「お客を捨てる」という言葉はちょっときつめの言葉ですが、
『安さや手軽さだけに拘るお客様よりも、少し高くてもお店を大切に想って来て下さるお客様と自分の志しを大事にしよう』
という考え方が小さなお店の場合にはとても大切だと思います。

お客を捨てる勇気