浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟(プレジデント社)
飯田 結太
「自分のところの商品なのに、わからないで売ってんのか」
お客様のこの一言から、今までの商売のやり方、従業員との付き合い方をすべて考えて直し、独自の経営戦略で飯田屋という料理道具屋を立て直した実話です。
ノルマも売上目標も接客マニュアルもない。
それでも、料理道具の困りごとを気軽に相談できる店にしたいという熱い想いが描かれていて、とても勉強になりました。
本当にたった一人のお客様を大事にするところから始め、多くの相談ごとに乗り、従業員の個性を生かして自由に仕事をさせる。
言葉で書くのは簡単ですが、これがいかに難しいことか、私も同じ経営者としてよく分かります。
売上が上がっても店舗数を増やすことをせず、より多くのお客様の笑顔と満足を追求する姿勢も好きでした。
以下に、印象に残った内容を抜粋しました。
・一人のお客に時間をかけてでも満足してもらうため、1年に1個しか売れない商品でも仕入れる品揃え
・「売れない商品」ではなく、説明をしなければ魅力が伝わりにくい商品があるだけ。商品のよさを伝える努力を怠っている店の問題
・在庫回転率を重視した職場は営業利益を追求する店側の都合でしかなく、数あるアイテムの中から驚きと選ぶ楽しみを味わってもらうための在庫仰天率を重視
経営者の大久保寛司さんの勉強会の言葉も胸に響きました。
「人が働くのは、自分と家族の幸せのため。経営者の仕事とは、従業員の幸せのために働くこと。ルールや賃金などの外的要素を変えても従業員が代わるのは一瞬で人の本質は変わらない。経営者の仕事はその人自身の力で変わる取り組みを全力で支援し、その人に中にある光り輝くものを引き出してあげること。」
お店をやっている方にはおすすめの一冊です。
浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟