もっと人を大切にする会社
坂本光司 著
「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズの総まとめのような内容でした。
参考:日本でいちばん大切にしたい会社6
https://nishigahara4-harikyu.com/blog/goodcompany6
日本理化学工業や伊那食品工業、中村ブレイス、徳武産業といった、今までの書籍でも何度も出てくるお馴染みの会社から、初めて名前を知る会社まで、簡潔に素晴らしい取り組みが紹介されています。
そして、現在多くの企業で行われている業績重視、株主重視、成長重視、コスト重視の経営学ではなく、株主や顧客より社員が第一で人の幸せを追求する経営をしていこうという方針のもと、「人を大切にする経営学会」が創設されるまでの経緯が描かれていました。
今回は、著者の坂本さんが「弱者のための経営、人を大切にする経営」の道を歩むきっかけとなった生い立ちや、学生時代、就職してからの仕事の内容が初めて明かされており、とても興味深く読みました。
中小企業を支援する公的機関で下請けの厳しい実情を知ったり、国の中小企業対策に対して問題意識を持ったりして、大学では地域社会への貢献を使命とした取り組みや現場研究を行うことで、人を大切にする経営の基礎を固めていきます。
本書を読んで、改めて「人を大切にする経営」の素晴らしさが改めてよく分かります。
特に印象に残った内容を以下に抜粋。
・企業は何もできない新入社員を雇い、給料を払いながら教育する。新人の給料分を先輩たちが身代わりになって稼いでいる。先輩も新人時代にそうしてもらったはずで、高齢の社員に対しても同じ。お互いさまというか順番なのである。高齢者や障がい者の幸せを念じない人は、自分や自分の家族は永遠に高齢者にも障がい者にもならないと言っているようなもので、そんなことはあり得ない。両者を大切にするのは当たり前である。
・経営者の仕事とは以下の(1)~(5)のことであり、売上を伸ばすとか新規事業を開拓するのは経営者の仕事ではない。
(1)方向を明示する
(2)決断する
(3)社員のモチベーションを高める
(4)先頭に立つ
(5)後継者を育てる
・廃業する企業や元気のない企業の多くは、独自の技術や商品を創造する「自立型・独立型・値決め型」企業ではない。他社から依頼された仕事を淡々とこなす「下請け型・対応型・指し値型」企業である。
昨今では、自分のスキルアップ目的やちょっとした不満ですぐに転職する人が増えていますが、まず働くことの原点として、人の幸せの追求、年配社員への感謝の気持ち、お互いさまの気持ちを思い出すことから始めてほしいと思いました。
多くの働く人に読んでほしい一冊でした。
もっと 人を大切にする会社