マンガでわかる!うつの人が見ている世界
大野裕 (監修), NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ) (監修), 工藤ぶち (イラスト)
本書は、100人以上の当事者の声をもとに作られた「心の不調がある人」と同じ目線で寄り添うために作られた本です。
「おわりに」にも書かれていますが、本書はうつ症状や精神疾患のある人たちの目線でわかりやすく症状を伝えるとともに、こんなふうに接してほしいということが中心に書かれていて、医学的解説はほとんどありません。
だから、「うつ症状を治療したい」という人向けではないのですが、うつ症状や精神疾患のある人たちの感じ方や気持ちが実体験を元に漫画形式で分かりやすく説明されていて、とても読みやすかったです。
第1章で「うつの人が見ている世界」を説明し、第2章で「うつの人の世界に寄り添うコツ」が紹介されており、うつの当事者だけでなく、家族や仕事仲間、友人など周囲の人にも当事者の想いが分かる内容になっていたのがよかったです。
うつ症状の患者さんの「わかってもらえない」という気持ちと、周囲の人の「わかってあげられない」、「せっかくアドバイスしているのに」という気持ちがぶつかりあってお互いの関係がギクシャクしてしまうというのは本当によくあることだと思います。
「何かできること、ある?」という声かけや、共感やアドバイスではなく「ただじっくり話を聞く」という支え方、これからのことよりも今生きているだけで精一杯という気持ち、など当事者の意見を元に寄り添うコツが紹介されているので、本書は周囲の人に役に立つ内容になっていると思いました。
身近にうつ症状の人がいる場合には、本書を読むと接し方が変わると思うので、ぜひ読んでほしい一冊でした。
マンガでわかる!うつの人が見ている世界