19番目のカルテ 徳重晃の問診【9】(ゼノンコミックス)
富士屋カツヒト 、 川下剛史
なんでも治せるお医者さんを目指して奮闘する医師の物語の第九巻です。
第九巻では、「誰かに頼ること」がテーマとなっていると感じました。
原因不明の体重減少、疲れやすさ、汗をかきやすいなどの症状に悩む20代の女性。
取引先でお世話になっている方の紹介で徳重先生の総合診療科を受診します。
無事に診断がついて一安心、徳重先生にお礼を伝えたところ、徳重先生は女性患者さん自身のおかげだと伝えます。
どういうことか。
自分の違和感を追求できたこと、周りの友人や取引先など違和感を伝えてくれる存在がいたこと、なによりそんな声を聞き入れる素直さを持ち合わせていたことがよかったのだと徳重先生は言います。
今の言葉でいうと、ヘルスリテラシーを高めるという言葉になりますが、自分自身や周囲の人の声をしっかり聞き、病状を判断するというのはとても大切な事だと思いました。
また、奥様が検査入院することになり、一人で1歳半のお子さんを見ることになった中年男性。
育児だけでなく、仕事や家事にも追われ、さらに奥様の入院が長引いて出口の見えない洞窟にいるような気分になって徐々に弱ってやつれていきます。
そんな中、徳重先生が男性にお子さんの小児健診をすすめ、お子さんがくる病という病気であることが判明します。
お子さんの病気に気付けなかったと責任を感じる男性に対して、小児科医が以下のようなことを伝えます。
・いつの時代も守る人間が増えると生活を維持するのは難しい
・あなたはすごくがんばっていて、ちょっと空回りしただけ
・昔ほど頼れる大人が少なくなってしまったけど、心当たりがあればどんどん頼っちゃえばいい
・育児相談ができる機関の紹介
・身体的にも精神的にも将来的にも、大人の余裕が子どもの余裕になる
実はこれは徳重先生が小児科医に伝えてほしいとお願いした言葉で、前向きに日々を戦っている人にとって、寄り添ってもらった気持ちになる言葉でした。
何かしらの生活苦や症状で困っているとき、誰かに話を聞いてもらったり、頼れる人に頼ったりする大切さがよく分かる内容でした。

19番目のカルテ 徳重晃の問診 9巻【特典イラスト付き】 (ゼノンコミックス)