19番目のカルテ 徳重晃の問診【1】(ゼノンコミックス)
富士屋カツヒト 、 川下剛史
なんでも治せるお医者さんを目指して奮闘する総合診療医の物語です。
現代日本の高度に発展した医療には、18の専門分野があります。
外科
内科
救急科
整形外科
リハビリテーション科
放射線科
形成外科
泌尿器科
脳神経外科
耳鼻咽喉科
皮膚科
眼科
麻酔科
婦人科
小児科
精神科
病理
臨床検査
医師は、それぞれの分野のスペシャリストであり、それぞれの専門はさらに深く細分化されています。
効率よく間違えのない診断を行うため、自分の専門外の分野は他科へ回すのが通例となっているそうですが、一歩間違えれば「たらい回し」の温床となるリスクを孕んでいます。
そんな中で、日本専門医機構は
「特定の臓器を専門としない19番目の専門医」
として「総合診療科」を設置しました。
本書は、そんな総合診療科の医師の活躍を描いた話となっています。
「総合診療科」と聞くとどんなイメージでしょうか?
私は以前、NHKで放送していた病名推理エンターテインメント「総合診療医 ドクターG」という番組をよく見ていたのですが、なかなか診断がつかない難しい病気をどう診断し、解決に導いていくのかを考える医師というイメージがありました。
本書に出てくる総合診療医の徳重先生はこう言っています。
「総合診療医の仕事は患者さんに適切な治療を受けてもらうこと」
さらにこう続きます。
ちょっと見ただけで病気が分かるわけがない。
僕たちは病気と言う結果だけを見て判断してはいけない。
何を食べ、何を習慣にし、どうやって今日まで生き、病を患ったのか。
その人の生きた過程を覗かなければ診断なんてつけられない。
人は話をしながらたくさん気付くことがあるんだ。
専門が細分化するのはよいことであり、そのおかげで発展した医療は確実に多くの命を救っている。
けど、そのせいで見過ごされる患者が出てきてしまうなんて、本末転倒だ。
だから、僕が専門に選んだのは「臓器」じゃない。人間そのものだ。
総合診療医は患者を診るスペシャリスト、そう思っているよ。
なんと素晴らしい理念でしょうか。
こんなに素晴らしいお医者さんがいたら、何かあったとき最初に診てもらいたいです。
とはいえ、現状、まだそれほど普及しているとは言えず、総合診療科がある病院は少ないです。
少子高齢化が進んでいく今後の日本において、総合診療医はますます重要になってくると思います。
総合診療医の物語がどうなっていくのか、今後も楽しみに読みたいと思います。
19番目のカルテ 徳重晃の問診 コミック 1-7巻セット