2024年3月19日に
「男性のためのアンガーマネジメント」
という講座を受講しましたので、今回はその話を紹介いたします。
講師は、日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントコンサルタントでキャリアコンサルタントの江野本由香 氏です。
まず、アンガーマネジメントとは、「怒りの感情で後悔しないことを目指す」取り組みのことです。
勘違いされがちなのですが、怒らないようにすることではなく、怒る必要のある時には上手に怒り、そうでない時には怒らないようにすることなのです。
アンガーマネジメントは、1970年代に米国で生まれた心理トレーニングで、差別の多い社会の中で怒りをコントロールして犯罪を減らすことを目的にして発展したという説が有力という話でした。
以下の2つの考え方を基本としているそうです。
・解決志向アプローチ
→怒りの原因を追究するのではなく、どうしたら怒りを減らせるかを考える
・物事の捉え方
→多様なものの見方をどう考えるか
さて、私たちを怒らせるものは何なのか。
人なのか、モノなのか、出来事なのか。
その正体は、「○○はこうあるべき」という価値観や願望です。
それが裏切られた時に怒りの感情が生まれるという話は印象に残りました。
講座の中で「最近怒ったことやイライラしたことを書く」というワークがあり、「出来事」と「こうあるべき」を書きました。
私は
・仕事中にパソコンがフリーズして、使えないことが何度も続いた
→重いソフトを起動していない時にはパソコンはスムーズに動くべき
・中華料理屋さんで先に来て並んでいたのに、店員さんの勘違いで順番を飛ばされたこと
→予約制でなければ並んでいる順番に案内すべき
・予約をしていた患者さんが連絡なしでキャンセルになった
→キャンセルになるのは仕方ないが、せめて連絡はすべき
といったことをあげました。
価値観や願望は育ってきた環境や知識、経験、時代背景が大きく影響しています。
そのため、ある出来事に対する意味づけや感情が人によって異なります。
その結果、正解は人によって違うし、時代とともに変化するため、「○○であるべき」というものの扱いが難しい、という説明は分かりやすかったです。
ではどうするか。
アンガーマネジメントには、衝動、思考、行動という3つのコントロールがあります。
①衝動のコントロール
カッとなってから理性が働くまで4~5秒かかるため、とりあえず6秒間は反射的に何かを言ったり、やったりするのを耐えて何もしないという方法です。6秒間待つために、落ち着く言葉(大丈夫、まあいいかなど)を唱えたり、目の前の物に意識を向けて怒りから意識をそらす、深呼吸をする、といった方法も有効です。
②思考のコントロール
出来事を、「1.許せるゾーン」、「2.まぁ許せるゾーン」、「3.許せないゾーン」の三重のゾーンに分けて考える方法です。人によって許せる、許せないの定義が異なるため、「2.まぁ許せるゾーン」を広げていくことを考えていきます。また、自分が許せないことを家族や友達など身近な相手に伝えておくことで、トラブルを減らすことにも繋がります。
③行動のコントロール
出来事や人を、自分で「変えられる」、「変えられない」に分類します。
例えば、会社のいやな上司や電車の遅延、といった状況は自分では変えることができないので、変えられないという事実を受け止めつつ、現実的な選択肢を探していきます。
さらにその中で、重要かそうでないかも考え、重要でない場合には放っておいたり、関わらないでいるという対応をとることもできます。
怒りをうまくコントロールすることで、怒りの感情で後悔しなくなり、大事なもの・大事なことを失わなくなり、人間関係の悩みが少なくなるという効果が期待できます。
どんな対応をするかは、「自分と周囲の人にとって長期的に見て、健康的で幸せであるためにどうすべきか」を考えるとよい、ということでした。