19番目のカルテ 徳重晃の問診【5】(ゼノンコミックス)
富士屋カツヒト 、 川下剛史
なんでも治せるお医者さんを目指して奮闘する医師の物語の第五巻です。
第五巻では、「病気を診るだけでなく、生きるのを助ける」ということがテーマだったと思います。
奥さんが妊娠していてまもなく出産を迎える中、首と腰の痛み、手足の肌荒れに悩む男性患者さん。
「掌蹠膿疱症」(しょうせきのうほうしょう)と診断されるものの、この病気に決まった治療法はなく、歯の病気を調べたり、金属アレルギーのテストをしたりと、原因を一つずつ地道に調べていく必要があることが判明します。
お金もない中、銀歯をセラミックに取り替えるのに50万円かかると言われ、途方に暮れてしまいます。
その結果、仕事もうまくいかずイライラして、掌蹠膿疱症も悪化していきます。
どうすればよいのか分からないことに対して不安や恐怖を感じる患者さん。
そんな患者さんの背景を少しずつ知っていくことで、一緒に病気と闘っていくことが大事だと痛感する話でした。
また、別のケースですが、司法浪人で1ヶ月後に4回目の司法試験を迎えるという状況で、猛烈な左眼の痛みに苦しむ男性患者さん。
「眼部帯状疱疹」と診断され、きちんと治療しないと視力に影響が出たり神経痛が残ってしまうのですが、司法試験の勉強をするためにすぐに帰りたいと言います。
過労やストレスで免疫力が低下し、体も心もギリギリの状態で休むことも必要なのですが、それを受け入れられない患者さんに対してどう対処していくのか。
病気を診るだけでなく、患者さんが安心して治療に望めるよう、患者さんの生き方を助ける医師の姿勢が素晴らしかったです。
こんな風に患者さんに親身になって接してくれるお医者さんがいたらいいなと思います。
私自身もできる限り、患者さんが生きることを手助けすることができるよう精進したいです。
19番目のカルテ 徳重晃の問診 5巻 【特典イラスト付き】 (ゼノンコミックス)