母のお酒をやめさせたい
三森 みさ (著), 今成 知美 (監修), 松本 俊彦 (監修)
ギャンブル依存症、ゲーム依存症、薬物依存症、アルコール依存症など、各依存症に振り回されて家庭が崩壊していく様子をコミック形式で描いた良書です。
本書は子どもの目線で依存症に対して、依存症が病気であり治療が必要なこと、子どもには一切責任はないことが丁寧に描かれていて読みやすかったです。
また、ゲーム依存症については、居場所がない子どもが実際にゲームにはまって抜け出せなくなっていく様子がリアルに描かれていて、子どもにもぜひ読んでほしい内容でした。
著者の実体験を元に書かれた父親の宗教依存、本人のゲーム依存、母親の身勝手な娘依存はつらい境遇だったと思いますが、なんとか命を繋ぎとめて「がんばりたい」と思うものに出会えたのは本当によかったと思います。
以下、特に大事だと思ったポイントを抜粋しました。
・依存症の治療の流れ
①相談する(保健所、精神保健福祉センター、専門医療機関、自助グループ)
②治療をする(正しい知識を身に付け、投薬、認知行動療法、心理療法)
③生活を整える(ストレスを健康的に乗り切る方法を覚える)
→依存行為を使わずに健康的に生活できるようになることを回復と呼ぶ
・必要なのはゲーム以外にも居場所を作ること。自分をケアする手段を増やすこと。
①つらい時や苦しいときに頼るところ(大人、友達、カウンセラー、自助グループ)
②楽しいとか嬉しいを感じるところ(旅行、おしゃべり、アウトドアなど)
→ゲームはその数ある選択肢の中の一つになればいいよね
・お酒、ギャンブル、薬物など、親の依存症についての対応として、
①何が起きているか説明する(お酒がやめられない病気であること)
②子どものせいではないと伝える
③子どもには何もしなくていいと伝え、子どものつらい気持ちに共感し感情を受け止める
④親を悪く言わない
依存症からの回復の過程がいくつかの事例を元にもう少し詳細に描かれていたらもっとよかったと思いました。
母のお酒をやめさせたい【電子限定フルカラー版】 (コミックエッセイ)