「落語家のもの覚え」という書籍から感じたことを書きます。
落語家のもの覚え(ちくま文庫)
立川談四楼
本書は落語の入門から、前座、二つ目、真打、そして弟子を育てていくところまで、修業時代の思い出話や、苦労話などが語られています。
その中で、著者が入門時に、師匠から言われた言葉が印象に残りました。
「声に出せ、音で覚えろ」
これは頭の中で稽古するのではなく、声に出し自らの声を聞くことで記憶が蓄積し、リズムがついてくるという教えです。
自分の経験を振り返ってみて、これは鍼灸あん摩マッサージ指圧でも同じだと思いました。
似たような言い方をするなら、
「手を動かせ、指で覚えろ」
という感じでしょうか。
私は、鍼灸あん摩マッサージ指圧の仕事を始めたばかりの頃に「吉田流あん摩」というのを習っていました。
最初に吉田流あん摩のDVDを借りて何度も見たのですが、なかなか上達しませんでした。
始めのうちは、ただ映像を見ているだけでは全然身につかなかったです。
実際に人の体に触って、手や指を動かしながら、どこを、どんなリズムと加減で、どうやって触れていくのか、自分の体で体感しないと、上達しないと思います。
何度も何度も繰り返すことで、体に刻み込んでいきました。
それが少しずつできるようになってからDVDを見ると、最初は気づかなかったことに気づいたり、新しい発見がありました。
頭で考えるよりも体に刻み込んで覚えていく、というのは落語の修業と共通していると思いました。
落語家のもの覚え (ちくま文庫)